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W杯でイングランドを倒せるか ラグビー日本代表、大野均が語る“金星”再現の条件

15年W杯・南アフリカ戦の勝利が示唆するもの

 当然ながら、日本を知り尽くすジョーンズHCだからこそ、スピードやテンポを出させないための重圧はかけてくるはずだが、大野氏は前向きだ。

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「間違いなく、エディーさんは日本をスローダウンさせてくるし、それができるメンバーがイングランドには揃っている。でも、スコットランドが見せた、相手の小さな綻びを狙うようなアタックは日本もできると思います。そのためには、自分たちのテンポでボールを出し続けることが大前提です」

 そして、もしもイングランドがアタックをスローダウンさせようとしてくれば、日本にとっては厄介な一方で、金星へのストーリーが見えてくることになるという。

「ボールをスローダウンしてくることで、相手も体力を使うことになる。なので、こっちも根負けせずにボールを保持し続けて、残り20分の体力勝負に持ち込めればチャンスはある。ロースコアでずっと食らいつく展開になれば面白い」

 大野氏の話で思い浮かぶのは、15年W杯の南アフリカ戦での金星だ。パワーで圧倒してくる南アフリカにしぶとく食らいつき、相手の反則にFB(フルバック)五郎丸歩のPGで突き放されずに終盤に持ち込むと、消耗に乗じて勝負を挑み逆転トライを奪い取った。このシナリオは、大会前の国内合宿の段階から徹底して準備を続けてきた。

「合宿での段階から、チームでは南アフリカ相手にチャンスは少ないだろうと考えていた。攻め込まれるなかで、いかに相手を敵陣に押し戻すか。そういう練習をしていましたね。“ビート・ザ・ボクス”(ボクス=南アフリカ代表を倒せ)と呼んでいた練習でしたけれど、イングランドが相手でも、そういう準備が必要だと思います。トライチャンスは少ないから、そこでいかに取り切るか、PGで3点を取りながら食らいついていくことが重要です。いいゴールキッカーも欠かせない」

 世界最先端のラグビーは毎シーズン新たな戦術、プレースタイルが更新されている。大野さんが思い描くシナリオは、すでに完成から7年が経つが、日本代表が強豪国を倒すための不変のバイブルでもある。

「僅差のまま食らいついて、最後の20分でどこまでイングランドを消耗させられるか。そこまでくると、どんどん選手にも焦りが出てくると思うので、日本代表は気持ちを強く持って、攻め切ることが大事になる」

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大野 均

ラグビー元日本代表 
1978年5月6日生まれ、福島県出身。小学生時代から野球を続け、日大進学後にラグビー選手としてのキャリアをスタート。身長192センチの恵まれた体躯を武器に頭角を現すと、卒業後は東芝府中ラグビー部(現・東芝ブレイブルーパス東京)に加入した。日本代表にも2004年から選出され、通算キャップ数「98」は歴代最多。W杯にも07年から3大会連続で出場している。20年に現役を引退し、現在は東芝ブレイブルーパス東京のアンバサダーを務めている。

吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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