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W杯でイングランドを倒せるか ラグビー日本代表、大野均が語る“金星”再現の条件

イングランド代表は6か国対抗ラグビーを終えたばかり【写真:AP】
イングランド代表は6か国対抗ラグビーを終えたばかり【写真:AP】

スコットランドがイングランド戦で奪ったトライに注目

 日本代表は、大野氏もプレーしたエディー・ジャパン時代からスクラム強化を押し進め、日本選手の特性を生かした低く、より8人が一体となった組み方は、現在のジェイミー・ジョセフ体制でも継承、進化を続けてきた。代表を外れた2017年までスクラムを組み続けた大野氏だからこそ、引退後を含めたその進化は手に取るように分かる。

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“A型国民”と言われるほど几帳面で、細かなディテールまでこだわる日本の国民性は、実はラグビーやスクラムでも生かされている。スクラムを組む時の左右の足をどう置くか、スクラムを組む隣の選手と体のどの部分を密着させるのか、腰や膝の角度、組み合う瞬間の頭と首の位置はどうすれば最も押し込む力を出せるのか。むくつけき男たちが、ミリ単位の話し合いを続け、組み上げるのがスクラムの真髄。どの国も、その重要性を理解しているが、ミニマムな領域まで追求する姿勢は、スクラム練習に使える時間も含めて日本の強みでもある。

 そして押すか押されるかによって、そこから展開されたアタックで相手に圧力をかけるか、かけられるかという趨勢が大きく変わるのも、スクラムの重要なポイントになる。2019年W杯の躍進でも明らかなように、日本代表はスピード、BK(バックス)の展開力が強みだが、スクラムは軽視して良いものではなく、いかに重圧を受けない“生きたボール”を出せるかが重要なプレーだ。相手の重圧を極力回避してボールを出すことで、初めて「らしさ」を出せる舞台、つまり展開力での勝負になる。

 日本がイングランドと対戦すれば、自慢のアタックで、どうやって相手の堅く、パワフルな防御を破ってトライを奪うかがポイントになるのだが、大野氏はスコットランドがイングランド相手に奪ったトライに注目する。

「どの試合を見ても、イングランドは積極的に前に出てプレッシャーをかけてくる防御をしていた。なので、すれ違いのパスなどからチャンスを作れるのかなと思いますね。例えばスコットランドが前半17分に奪ったトライでは、ラインアウトのクイックスローを起点に、右展開からアタッカーがイングランドのFWとBKのギャップに仕掛けて、いい角度で走り込んできた仲間にボールを浮かせてトライまで結び付けているんです」

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大野 均

ラグビー元日本代表 
1978年5月6日生まれ、福島県出身。小学生時代から野球を続け、日大進学後にラグビー選手としてのキャリアをスタート。身長192センチの恵まれた体躯を武器に頭角を現すと、卒業後は東芝府中ラグビー部(現・東芝ブレイブルーパス東京)に加入した。日本代表にも2004年から選出され、通算キャップ数「98」は歴代最多。W杯にも07年から3大会連続で出場している。20年に現役を引退し、現在は東芝ブレイブルーパス東京のアンバサダーを務めている。

吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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