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デビュー数日で始球式、ゼッケン盗難騒動 女性というだけで過熱した“アイドル騎手”の葛藤――騎手・藤田菜七子

通算148勝は「人に恵まれました」と語る藤田【写真:安藤未優】
通算148勝は「人に恵まれました」と語る藤田【写真:安藤未優】

活躍で変えた「女性騎手」の見方「本当に人に恵まれました」

「本当に人に恵まれました」と言う藤田は、馬と喧嘩しない柔らかい手綱さばきで「女性騎手」の見方を変えていった。

 デビューから1か月で初勝利。女性騎手として、12年ぶりのJRA勝利となった。1年目は6勝。2年目は14勝、3年目は27勝と年を追うごとに勝ち星を伸ばし、この年に増沢由貴子が持っていた従来の女性最多勝記録の「34」を塗り替える快挙を一気に達成した。

 43勝を挙げた4年目にはG1のフェブラリーステークスにコパノキッキングで出走(5着)。JRA所属女性騎手として初のG1騎乗を果たし、同馬でG3のカペラステークスで重賞勝利を挙げた。重賞を勝てずに競馬界を去る騎手も珍しくない世界で、立派な勲章だ。

 8年目の今年までに積み重ねた勝利は148勝。勝つたびに女性騎手の歴代最多を更新している。

 忘れられない勝利を問うと「初勝利は今でも覚えていますし、デビューした頃はもちろん重賞を勝ちたい気持ちでいましたが、本当に勝てたことは夢のようでした。そういう意味では重賞を勝たせていただいたのも凄く嬉しかったです」と思い出をかみしめるように言った。

 ただ、すべてが順風満帆だったわけではない。今日に至るまでには、苦悩の日々も味わっていた。

(後編「一度は思った「男性に生まれていれば…」 女性騎手の先駆者として戦い続ける25歳の現在地」続く)

■藤田 菜七子 / Nanako Fujita

 1997年8月9日生まれ。茨城・守谷市出身。小学6年生で騎手を志し、2016年3月に16年ぶりのJRA女性騎手としてデビュー。4月10日の福島第9レースでJRA初勝利。2018年に女性通算最多勝利記録を更新し、2019年に当時の女性歴代最多年間43勝をマーク。同年2月にフェブラリーステークスでG1初騎乗、同12月にJRA重賞初制覇。2020年4月25日に通算100勝を達成。2020年から2年連続フェアプレー賞(関東)を受賞。JRA通算3330戦148勝(重賞1勝)。美浦・根本康広厩舎所属。157.4センチ、45.6キロ。

<3月5日「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」オンラインイベント開催>

 オンラインイベント「女性アスリートのカラダの学校」を3月5日に開催する。アスリートや専門家が女性アスリートのコンディショニングについて議論を交わしながら、参加者の質問にも答える。第1部は「月経とコンディショニング」をテーマにスポーツクライミング東京五輪銅メダリスト・野口啓代さんをゲストに迎え、月経周期を考慮したコンディショニングを研究する日体大・須永美歌子教授が講師を担当。第2部は「食事と体重管理」をテーマに体操でリオデジャネイロ、東京五輪2大会連続団体入賞の杉原愛子さんをゲストに迎え、公認スポーツ栄養士の橋本玲子氏が講師を担当。1、2部ともに月経など女性アスリートの課題を発信している元競泳日本代表・伊藤華英さんがMCを務める。参加無料。応募は「THE ANSWER」公式サイトから。詳細(https://the-ans.jp/news/304085/

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)


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