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日本で縛られていた「こうあるべき」の風潮 結婚・出産を経て、36歳で出場した4度目の五輪――バレーボール・荒木絵里香

「THE ANSWER」は3月8日の国際女性デーに合わせ、さまざまな女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。「スポーツに生きる、わたしたちの今までとこれから」をテーマに1日から8日までアスリートがインタビューに登場し、これまで彼女たちが抱えていた悩みやぶつかった壁を明かし、私たちの社会の未来に向けたメッセージを届ける。4日目はバレーボール日本代表として五輪に4大会連続で出場した荒木絵里香さんが登場する。

五輪に4度出場した荒木絵里香さんが語る女性アスリートのライフプラン【写真:窪田亮】
五輪に4度出場した荒木絵里香さんが語る女性アスリートのライフプラン【写真:窪田亮】

THE ANSWER的 国際女性ウィーク4日目「女性アスリートのライフプラン」荒木絵里香インタビュー前編

「THE ANSWER」は3月8日の国際女性デーに合わせ、さまざまな女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。「スポーツに生きる、わたしたちの今までとこれから」をテーマに1日から8日までアスリートがインタビューに登場し、これまで彼女たちが抱えていた悩みやぶつかった壁を明かし、私たちの社会の未来に向けたメッセージを届ける。4日目はバレーボール日本代表として五輪に4大会連続で出場した荒木絵里香さんが登場する。

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 テーマは「女性アスリートのライフプラン」。生き方の多様化が進み、さまざまな人生設計ができる現代社会。荒木さんはスポーツ界において、それを象徴するようなキャリアだ。海外挑戦も経験した現役時代、結婚・出産を経て、バレーボール界の第一線で長年活躍。2021年東京五輪を最後に引退した後は、大学院に通い始めた。前編では、自身が現役選手として「結婚・出産」を選択した理由について明かし、競技と子育てに励んだ日々を振り返った。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

 ◇ ◇ ◇

 五輪の舞台に4度立ち、日本女子バレーボール希代の主将として牽引した38歳・荒木絵里香さんは今、いくつもの肩書きを持ち、忙しい日々を送る。

 9歳の娘を持つ母であり、現役の早稲田大学大学院生であり、バレーボール解説者である。Vリーグ・トヨタ車体クインシーズのチームコーディネーターに、ママアスリートを支援する一般社団法人「MAN」の理事も務める。「今、いろんなバランスを必死に取っています。試行錯誤しながら“バレーボール選手としての自分”でしかなかったところから、日々挑戦という感じです」と笑いながら、その表情には第二の人生への充実感が滲む。

 荒木さんの人生で大きな転機は、28歳になる夏に出場したロンドン五輪だった。

 岡山・倉敷で小学5年生からバレーボールを始めた。小学生で180センチを超える恵まれた体格。東京の名門・成徳学園(現・下北沢成徳)では同級生の大山加奈らとともに高校全国3冠を達成した。2008年北京五輪に出場後、イタリアのクラブに海外移籍し、2012年ロンドン五輪で主将として女子28年ぶりの銅メダル獲得に導いた。

 キャリアで最も輝かしい実績を残した直後の翌年2013年、交際していたラグビー元日本代表選手の四宮洋平さんと結婚し、すぐに妊娠が判明。それを機に10年間在籍していたVリーグの強豪・東レアローズを退団した。2014年1月の出産を経て、6月に埼玉上尾メディックスで復帰。ママ選手としてコートに帰ってきた。

 当時29歳。結婚・出産を経て復帰する女性アスリートは決して多くない。しかし、荒木さんに迷いはなかった。「もともと長く競技生活を続けたかったし、選択肢の一つとして持っていました。(ロンドン五輪直後のタイミングは)今がチャンスと思って、家族と相談して……」。愛娘の和香ちゃんを授かることができた。

 決断の背景には、24歳から2年間プレーしたイタリアでの経験があった。

「彼女たちのライフスタイルというか、アスリートとしての姿を見た時、こういう生き方があるんだと感じたことがすごく大きかったです。みんなプロのバレーボール選手であると同時に結婚している選手も、大学に通って勉強している選手もいた。モデルみたいなことをしながらプレーしている選手もいたんです。

 そういう姿を見た時、メリハリがついて生きている感じがすごく刺激的で。日本だと『○○はこうあるべきだ』みたいな考えをバレーボール選手として勝手に作っていましたし、なんとなくそういう風潮も(スポーツ界には)ありました。こういう選択肢もあっていいんだって思えたことがすごく大きかったです」

 人生のオーナーシップは自分にある。何事も一つの道を極めることが尊ばれる日本とは異なる価値観が荒木さんを後押しした。

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