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ラグビー日本の4年間を「よくやった」で済ませてはいけない 「8強の壁」再突破へ検証すべきこと

日本ラグビー協会はこの敗戦から学ぶべきことがある

 サンウルブズに関しても、未だにその埋め合わせは見えてこない。2021年シーズンに発足したリーグワン(開幕は22年1月)だが、当初目玉の1つだった、リーグ上位チームが海外強豪クラブと対戦する「クロスボーダー大会」は、未だにいつから実施されるかのアナウンスもなく、実施が刻々と後回しになっている。

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 知り得た情報では、来年2月のスーパーラグビー開幕前に同リーグの上位チームが昨季リーグワン上位と対戦するプランはある。だが、一部の国内チームからシーズン途中の開催に異論が起き、スーパーラグビー王者のクルセイダーズはヨーロッパでの招待試合を優先して、クロスボーダー参戦を見送る方向だとも聞く。クルセイダーズが日本側からの対応に痺れを切らして、大会参加を回避したという。そもそも無事クロスボーダーが実現したとしても、多くの日本代表選手を擁したサンウルブズがスーパーラグビーで揉まれた環境ほどに代表強化に繋がるのかは疑問だ。

 一番恐ろしいシナリオは、今回のフランスまでの挑戦を、「選手、チームはよくやった」などと感傷的に頷いて終わらせてしまうことだ。世論はそれでいいが、協会、強化に携わる人間にとっては、すべてがパーフェクトではなかったのなら、そこから必ず学びがあるはずだ。

 パンデミックもサンウルブズもだが、2005年のジャン=ピエール・エリサルドHC就任から続く、協会側が代表チームをしっかりとコントロールできない課題も解消されていない。指導者が変わるごとに体制を再編しながら、前体制での課題がどこまで有効にフィードバックされて、新体制がさらに質の高い組織にバージョンアップできてきたかを考えると、足踏みしている部分が多い印象だ。

 コントロールという言葉を誤解してほしくないのだが、それは代表指導陣に何か非があるのではなく、プロの指導者の利害とラグビー協会が担う日本ラグビーの利害は、必ずしも100%は合致しないという現実だ。優先するべきは「指導陣のため」よりも「日本ラグビーのため」のはずだが、どこまでできているのかは疑問がある。

 最後に、アルゼンチン戦後の取材で印象に残った松島とのやり取りをお伝えしておこう。 普段は淡々と取材に受け答えする松島だが、この日の取材では、いつも通りの話ぶりの中にも、強い憤りが感じられた。自身のポジションについて話が及ぶと、こんな発言をしている。

「自分が準備してきたものが上手く生かせなかった。もっとボールタッチをすればチャンスを作れる自信はありましたし、もっと外まで持っていける自信もありました。そこはフランスに行って(20、21年シーズンにフランス・ASMクレルモン・オーヴェルニュでプレー)15番をずっとやっていましたし、サントリーでも15番をやってきたし、(代表でも)直前まで15番をしてきた。セレクションに関して僕は選べないですが、(W杯)直前で信じてくれなかったのかなという感じですね。WTBとしての準備は練習でも全くしていなかった。イタリア戦が終わってから本格的にやり始めたが、何も言われていなかった。謎かなという感じですね」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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