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イングランド戦の合言葉は「殴られる前に殴る」 ラグビー日本に“奇跡”を呼ぶスクラム勝負の重要性

ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会で前回大会のベスト8超えを目指す日本代表は、17日(日本時間18日4時)にニースで行われるイングランド戦へ準備を進めている。10日の初戦でチリを42-12で下して白星スタートを切ったが、イングランドも強豪アルゼンチンに27-10と快勝。プールD唯一の全勝を懸けた決戦で、昨年11月のテストマッチでスクラム戦の末に完敗(13-52)した相手への雪辱を誓う。スクラム担当の長谷川慎アシスタントコーチ(AC)は「殴られる前に殴れ」と選手の闘争心を煽る。勝てばプールD首位通過、負ければ決勝トーナメント進出に黄信号が灯る注目の一戦。スクラムを制する者が、D組を制する様相だ。(取材・文=吉田 宏)

チリ戦でボールを持って突破する具智元。強敵イングランド戦ではFW陣の奮闘が勝利の鍵を握る【写真:Getty Images】
チリ戦でボールを持って突破する具智元。強敵イングランド戦ではFW陣の奮闘が勝利の鍵を握る【写真:Getty Images】

W杯フランス2023コラム、7大会連続取材「ラグビーライターの視点」

 ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会で前回大会のベスト8超えを目指す日本代表は、17日(日本時間18日4時)にニースで行われるイングランド戦へ準備を進めている。10日の初戦でチリを42-12で下して白星スタートを切ったが、イングランドも強豪アルゼンチンに27-10と快勝。プールD唯一の全勝を懸けた決戦で、昨年11月のテストマッチでスクラム戦の末に完敗(13-52)した相手への雪辱を誓う。スクラム担当の長谷川慎アシスタントコーチ(AC)は「殴られる前に殴れ」と選手の闘争心を煽る。勝てばプールD首位通過、負ければ決勝トーナメント進出に黄信号が灯る注目の一戦。スクラムを制する者が、D組を制する様相だ。(取材・文=吉田 宏)

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 ラグビーの母国イングランドとの対戦へ向けた初めての公開練習が行われたのは13日。対面での会見では、“スクラムマスター”長谷川ACが吠えた。

「やられる前にやるというところがすごく大事かなと思います。そういうメンタリティーを持って練習して、試合で一発目(のスクラムから)から(自分たちのスクラムを)出せるようにする。殴られる前に殴るというイメージをしっかり全員で共有している段階です」

 時に冗談で報道陣を笑わせながらも、言葉の端々に秘めた闘争心が火花を放つ。取材に応じた選手も、右PR具智元(コベルコ神戸スティーラーズ)とHO堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)とFW第1列。長谷川ACの現役時代のポジション(左PR)を並べると、背番号で1、2、3とスクラムの最前線トリオで固めてきたことに、チームの意気込みが読み取れる。

 鼻息の荒さの理由は、10か月前に遡る。

 すでにW杯での対戦が確定していたイングランドとの敵地トゥイッケナムでの前哨戦。本番を占う注目カードだったが、開始から立て続けにスクラムで反則を犯し、相手に主導権を握られた。終わってみれば13-52の完敗。反則をとられた具も、その後、長谷川ACと何度も話し合い、W杯でいかにイングランドスクラムに対抗するかを模索してきた。

「去年は、バインドの掛け合いからヒットのところで、ちょっと受けただけで、スクラムを落としたと判断されて反則をとられた。でも、今は修正できているので、やり返せる自信もあるから楽しみです」

 韓国出身ながら日本代表のジャージーを選んで、今や押しの強さで日本スクラムの欠かせない存在に成長する。昨秋にイングランドに粉砕されてから、悔しさの中で師匠・長谷川ACと取り組んできたスクラムを爆発させる時が近づいている。

「自分は(次戦に出れば)イングランドと3回目ですけど1回も勝てていない。去年はすごく悔しい思いをしながら負けてしまったので、W杯の中で一番の目標、自分の中で見せたいなという試合です」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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