16年ぶり“NBAの日” トイレにも行かせない、沸騰した日本の「エネルギーレベル」
F1ルイス・ハミルトンも観戦、NBAトップは発展する日本バスケ界に「今が転換点」
コート上の演出に火をつけられたファンは、その熱を選手に向ける。大声援に乗せられるように、ハーデンは27分16秒の出場で34得点を奪い、7アシストをマーク。試合後の会見では「素晴らしかった。NBAのバスケットを見てもらえるいい機会。試合中、本当にエネルギーをくれたので、僕たちもショーを見せたかった。本当に素晴らしい場所で、東京は大好きで雰囲気も素晴らしい。また戻ってくる機会があればいいね」と蓄えたひげを満足げにさすった。
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ラプターズのパスカル・シアカムは、切れ味鋭いドリブルで魅了。ドライブや3ポイントシュートで技を見せた。昨季、1年を通じて最も成長した選手に贈られるMIP賞に輝いた25歳。「ここでの試合は楽しかったし、本当にエネルギーレベルが高かった。チームも来られてよかった。本当に応援に来てくれて嬉しかったし、楽しかった」と熱狂ぶりに驚いているようだった。
客席にはF1のルイス・ハミルトンも観戦に訪れていたコート。大型モニターに映し出されるとさらに熱が上がる。134-129と大量得点となり、ラプターズのニック・ナースHCは「オフェンス重視でファンにとってエンターテインメント性の高い試合になったと思う。全て素晴らしかった。非常に盛り上がっていたね」とご満悦。スタンドの米国人ファンの音頭で始まったのか、「レッツゴー、ラプターズ!」のチャントも鳴った。同HCは「世界中にファンがいると実感する」と笑った。
NBAコミッショナーのアダム・シルバー氏は、試合前の会見で日本開催の意義を語った。「我々はNBAを発展させるのではなく、バスケットを発展させたい。日本には発展の道筋が明確にある」。八村塁(ウィザーズ)、渡邊雄太(グリズリーズ)らの台頭に加え、東京五輪が控える。楽天とNBAの提携で本場の試合を手軽にネット観戦できるようになった。同氏が「今が転換点」と語るように、日本バスケの未来は広がっていきそうだ。
10日も同会場で両チームが対戦する。10日は、試合を間近で見られるコートエンド席が11万5200円、コートサイド席が8万円と破格の値段だ。それでも第1戦はびっしりと埋まり、2万348人が集結した。空前のブームが起こる日本バスケ界。活況を見せるBリーグでも、まだまだ学べる部分が多いだろう。
午前0時を過ぎた帰りの山手線。サラリーマンが応援用のスティックバルーンのはみ出たカバンを抱き、居眠りをしている。明日が仕事だろうが関係ない。16年ぶりに訪れた“NBAの日”は熱かった。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)