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世界的名将が教えるW杯の“見方” 忖度なしの日本の可能性「本物の期待感がある」

NZの強みはラグビーの“直観力”、対して南アフリカは天性のアスリート揃い

――では大会全体についてですが、見どころや注目チームの特長を教えてください。

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「ラグビーを見たことない人なら、チームというよりラグビーの面白さを感じてほしい。体の大きな人から、背の低い人、細い人、足の速い人、遅い人、そういった様々な個性の選手たちが、体を鍛えあげて、パワーやスピード、コンビネーションという面で鎬を削る。体をぶつけ合いながらも前進する。そういったダイナミックさを見てほしいですね。選手たちが作り出す化学反応や精神性、そういったものを楽しんでほしい。

 注目チームでは、3連覇に挑むニュージーランド(NZ)代表ですが、選手は全員が小さい頃からラグビーの中で育ってきています。ラグビーの素晴らしい要素すべてを持っているのがNZです。彼らの持つプレーの“直観力”はすごいですね。

 南アフリカには、彼らの歴史を紡いできた独特の特長がある。具体的には、体の大きさやインテンシティー(強度)が特長です。そして、とてつもないアスリートがいるチームです。ホームネーションズと呼ばれるイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの4か国は、意図的に組み立てたゲームをしてくることが特長。彼らは相手が嫌がることを厭わない。そういった嫌らしさを兼ね備えているのです。

 そしてオーストラリアは、いつも見る者を楽しませてくれる。何をしてくるか読みづらいところがあるが、2回の優勝という素晴らしい実績もある。フィジー、サモア、トンガという南太平洋諸国は、フィジカルでパワフルなアスリートがたくさんいるのが特長です。不安定さはあるけれど、対戦するのは厄介な相手です」

――混戦と指摘しますが、これまでの南半球優位という状況は崩れるのでしょうか?

「もちろんそういう可能性はあります。それを裏付けるのが世界ランキングです。アイルランドが1位になり、イングランドが上位にいるなど北半球勢が躍進をみせている。世界ランクの計算方法にも疑問の声があるが、それを抜きにしても拮抗しているのは間違いない。南アは昨年NZに勝っているし、イングランドはアイルランドから50点以上奪って勝った。ランク1位になっている国に勝っているチームがいることも、いまの状況をよく示していると思います」

――最後に、もしプール戦で1試合チケットを貰えるとすれば、どのカードを希望しますか?

「1試合かい? うーん、NZ-南アフリカですね。オーストラリア-ウェールズもいいね」

ロビー・ディーンズ
1959年9月4日、ニュージーランド・カンタベリー州シャビオット出身。現役時代はFB、SOでプレーして、83年にニュージーランド代表入り。通算5キャップ。強豪クルセイダーズ監督として2000、02、05、06、08年にスーパーラグビーを制覇。02年にはニュージーランド最優秀コーチ賞を受賞。世界屈指の指導者と称された。01-03年にニュージーランド代表アシスタントコーチ、08-13年にはオーストラリア代表監督。14年からパナソニック監督。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)


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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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