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天才でも、神童でもない那須川天心の目指す先 宿命は「戦うことで熱狂させる」 世界王座も通過点

サンティリャンに判定勝利した那須川天心(右)【写真:山口比佐夫】
サンティリャンに判定勝利した那須川天心(右)【写真:山口比佐夫】

「天才」「神童」と言われても「自分ではそう思わない」

「宿命を燃やす」をテーマに戦った。自身の宿命は「戦うことでみんなを熱狂させること」という。

 メディアの露出も多いが「自分のためだけに格闘技をやっていない」と強調する。願うのは格闘技界全体の発展。こめかみに「天」の剃り込みを入れた奇抜な髪形もその一環だ。グッズのデザインと連動させ「みんなの思いもここに乗せている」と思いを込めた。

 公開スパーリングは一切手を緩めることなく全力で臨む。「試合で感動させる人は、練習でも感動させないといけない」の考えからだ。

 3日、肺炎のため89歳で亡くなった長嶋茂雄氏には「ボクシングという部分にプラスしてのエンターテインメント性とか文化を作ることを意識している。(長嶋氏が)亡くなって悲しい気持ちはありますけど、そういう人みたいに僕もならないといけない」と敬意。周囲を引き込み、誰からも愛される存在という、那須川の目指す人物そのものでもあった。

 格闘技戦績47戦全勝(キックボクシングは42戦)でボクシングに転向。世界戦目前まで辿り着いた華々しいキャリアの裏で、上手くいかない事も数多く経験してきた。リングインタビューでも「こうも上手くいかないかあ」と漏らした。

「昔から『天才』とか『神童』とか言われていたんですけど、自分ではそうは思っていない。言われてきたことを『そうじゃないぜ』って自分で回収している感覚」

 世界初挑戦は11月頃に見据えている。「ベルトを獲って満足できる性格でもない。上を目指して行きたい」。天才でも、神童でもない。それでも、那須川天心には世界チャンピオンの座すら通過点なのかもしれない。

(THE ANSWER編集部・澤田 直人 / Naoto Sawada)


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