11日に井岡一翔VSフェルナンド・マルティネス

　ボクシングのWBA世界スーパーフライ級（52.1キロ以下）タイトルマッチが11日、東京・大田区総合体育館で行われる。10日は都内で前日計量が実施され、前同級王者・井岡一翔（志成）が51.9キロ、現王者フェルナンド・マルティネス（アルゼンチン）が51.9キロでパスした。昨年7月以来のダイレクトリマッチ。初防衛戦に臨む王者はサングラス姿を統一する理由に「恥ずかしがり屋なので」と赤面した。興行はABEMAで無料生配信。戦績は36歳の井岡が31勝（16KO）3敗1分、33歳のマルティネスが17勝（9KO）。

　マルティネスは陣営が指笛や母国の歌で盛り上げる中でノリノリで登場。計量を終えてポーズを決めて報道陣にアピールした。陣営は奇声をあげて狂喜乱舞。計量後は約10秒のフェースオフで睨み合い。挑発的に体を揺らしながらわずか井岡に5センチほどまでジリジリと詰め寄り、火花を散らした。

　計量後の会見で「初回からパンチの応酬をしたい。後半KOを狙います」とニヤリ。前日の調印式を含め、この日も会場入りから終始サングラス姿だ。唯一フェースオフの時のみ外したが、理由について「とてもリラックスできる。落ち着く」と明かし、「恥ずかしがり屋なので、たくさんカメラがあると緊張する」と珍回答で笑いを誘った。

　とはいえ壇上では派手にポーズを取り、カメラマンに撮影を求めた。「明日は見逃さないでくれ。2人のグレートな戦士が人生を懸けて戦う。俺たちは全てを出し切る。長い間練習した。見逃さないでくれ」とファンに呼びかけ。「やり続ければ達成できる。貧しいボカ地区で生まれ、練習を始めて夢を叶えてきた。夢は叶えられると思っている」と意気込むと、陣営は歌を大合唱した。

　一方の井岡は「KOではっきり明確に決着をつけるのが理想ですが、一番は自分のボクシングをしてKOでも判定でもこの試合は勝つこと。何が何でも勝利を掴み取りたい」と完全勝利を誓った。

　2024年7月、当時IBF王者のマルティネスは、WBA王者だった井岡との王座統一戦で3-0の判定勝ち。IBF王座を返上し、同年大晦日の再戦のために来日したが、インフルエンザに感染。急遽、試合をキャンセルした。教訓を活かし、手指消毒など感染対策を徹底。移動はホテルと練習場の行き来のみにした。

　再戦はプロ3戦全勝の井岡。勝てば36歳1か月で王座奪取となり、元世界3階級制覇王者・長谷川穂積氏の35歳9か月の日本男子最年長の記録を更新する。