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カタールW杯の知られざる食事情 国内の子供20%が肥満、会場は「観る側の健康」に配慮

スタジアムは「ヘルシーなスタジアムフード」を提供

 そして、スタジアムに足を運ぶ国内外の観客に向けては、冒頭で触れたように「ヘルシーなスタジアムフード」を提供。

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 WHOのプロジェクト担当者によると、今回スタジアムで提供するヘルシーフードのメニューは、栄養成分を科学的な根拠に基づいた評価のもと開発。「公衆衛生上の懸念のあるエネルギーや糖類、塩、飽和脂肪酸などを控え、不足しがちな野菜や果物などは一定の基準を満たしたものを提供する」と、徹底しています。

 ヘルシーフードのメニューですが、中東ならではの「ほうれん草入りファタイヤ」のほか、野菜がメインの「ベジロール」「ベジスティック」など。

 ファタイヤとは中東諸国で良く食べられているパンの一種。もっちりとしたパン生地に、ほうれん草と玉ねぎ、ハーブなどを炒めてレモン汁をアクセントに加えた人気メニューです。

 もちろん、スポーツ観戦で馴染みのある食べ物を求める観客のために、ホットドックのようなファストフードも販売していますが、今大会を機により多くの方が「ヘルシーメニュー」を選択してもらえるように工夫。美味しいのはもちろん、「見た目も美しく、安価で買い求めやすいこと」にもこだわったそうです。ちなみに、ファタイヤは約4ドル(約550円)、ホットドッグは約7ドル(約970円)と、かなりお得です。

 2012年ロンドンオリンピック以降、大規模なスポーツ大会では、食品の安全性はもちろんのこと、環境への配慮、選手の栄養管理、食の多様性と調和、食文化等の情報発信に力を入れることが当たり前になりつつあります。

 しかし、これだけのメガ大会が「観る側の健康」を考え、世界中の人の目に触れるスタジアムのメニュー改善に取り組んだのは、初めてのことだと思います。

 以前、イングランド・フットボールリーグのフォレストグリーン・ローバーズ(以下FGR)が、選手の食事と試合の日のホームスタジアムで販売するマッチミールにヴィーガンメニューを取り入れたことをこの連載で紹介しました(https://the-ans.jp/food/107671/)。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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