「世界一野球がうまい集団なのに…」 MLBのスター軍団ドジャースが試合前に“超地味練”ゴロ捕球を繰り返すワケ
「THE ANSWER」はこのほどメジャーリーグに編集部記者を派遣し、昨季ワールドシリーズを制して世界一に輝いたドジャースを中心に世界最高峰の舞台に密着。「スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト」として普段発信しているスポーツと社会のさまざまな課題、ジュニア育成や進路選び、保護者や監督・コーチの指導のヒント……など「THE ANSWER」のサイトコンセプトに照らしたテーマを、MLBを通して短期連載で発信する。第5回は「世界一軍団ドジャースの試合前ルーティン」。華やかなフィールドで試合前にドジャースナインによって繰り広げられる“超地味”なルーティンを取材すると、日本の少年野球の参考にもなる超一流プレーヤーの真髄が見えた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

「THE ANSWER×MLB現地連載 #5」――メジャーリーグ取材から探る「アンサー」
「THE ANSWER」はこのほどメジャーリーグに編集部記者を派遣し、昨季ワールドシリーズを制して世界一に輝いたドジャースを中心に世界最高峰の舞台に密着。「スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト」として普段発信しているスポーツと社会のさまざまな課題、ジュニア育成や進路選び、保護者や監督・コーチの指導のヒント……など「THE ANSWER」のサイトコンセプトに照らしたテーマを、MLBを通して短期連載で発信する。第5回は「世界一軍団ドジャースの試合前ルーティン」。華やかなフィールドで試合前にドジャースナインによって繰り広げられる“超地味”なルーティンを取材すると、日本の少年野球の参考にもなる超一流プレーヤーの真髄が見えた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
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世界一野球がうまい集団なのに……。一見すると、そう思ってしまう地味な光景が、ドジャースタジアムの試合前に毎日繰り広げられる。
試合開始の3時間半ほど前、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンらが早出で現れたグラウンドで両膝をつき、コーチと2メートルほどの距離で向き合う。通常より小さなグラブをはめ、コーチが下手で投げるボールをワンバウンドでキャッチ。数回反復した後、今度は立ち上がって距離を広げ、また黙々と捕球を続ける。2018年に一塁でゴールドグラブ賞を受賞した名手フリーマンは「7年前から始めて、それ以来毎日やっているよ」と明かす。
立ち上がってからも最初は上半身とグラブだけを動かし、途中からようやくステップを加える。距離が広がるにつれ、ノックバットも使って徐々に実戦形式に近づけていくが、総じて地味な練習。それを5分ほどかけて行う。フリーマンもベッツも「ああ、超基本的な練習だね」と笑い、口を揃える。自身も現役時代は遊撃を中心に内野をすべて守り、練習の配球係を担うクリス・ウッドワードコーチも「難しくない。とても簡単なものだ」と頷く。

ミゲル・ロハス、アンディ・パヘス、キム・ヘソンらもお馴染みのメンバー。これまで何万回とゴロをさばいてきたメジャーの名手たちがそんな“超地味練“を毎日繰り返す理由はなぜか。
1つはウォームアップのため。小さな動きから始めて、少しずつ体を温める。いきなり激しい運動をしないことはトップアスリートでも重要だ。フリーマンは「みんなそれぞれのやり方があるけど、僕の場合はこのルーティンが両手と体を温め、一日の準備を始める役に立っている。僕の守備、キャリア、そして最高の選手になるための役に立っているんだ」と重要性を強調。2020年にリーグMVP、シルバースラッガー賞3度受賞している通算352発のバット職人であっても、練習のルーティンは守備から始まる。
もう1つは基礎の大切さ。ウッドワードコーチは「膝をついた状態から実戦形式のノックまで、段階を踏んでいくことがとても大事なんだ。全てのステップが重要。最初を正しくできていなければ、最後を正しくできるはずがない」と説明する。難しい打球を処理するためには、まず基礎的な動作を完璧にこなすこと。超一流選手に共通するのは「簡単なことを誰よりもうまくやる」ことだという。