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海外の“栄養ウェビナー”で話題に 今、欧米アスリートが注目する2つの食事法

世界のトップ選手も実践するプラントベースド・ダイエットとは

 比較的新しいケトジェニックダイエットに対し、今では世界のトップアスリートたちが実践することも珍しくなくなった食事法がプラントベースド・ダイエットです。プラントベースド・ダイエットとは、基本は野菜、果物、全粒穀物、種実、豆などの植物性の食品を中心に食べる食事法を指します。その上で、例えば「動物性の食品を一切食べない」ビーガン、「動物性食品でも卵や牛乳はOK」というラクト・オボ・ベジタリアン、「動物性食品でも乳・乳製品はOK」のラクト・ベジタリアンなど、個人の嗜好によってさらに細かく分かれています(※以上、アメリカ栄養士会の区分を参照)。

 プラントベースド・ダイエットに関しては、超低糖質ダイエットと異なり、エネルギー源となる糖質が摂取しやすいため、特にこれまで糖質を制限していたアスリートの中には持久力の向上が見られる人もいるようです。

 注意すべき点は、運動量に見合ったエネルギーや、良質のたんぱく質、ビタミン・ミネラルが不足しないようにすることです。

 特にプラントベースド・ダイエットの場合、動物性食品の摂取を控えることで、ビタミンB12、ビタミンD、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素などが不足しやすいと言われています。また、筋たんぱく質合成に欠かせない必須アミノ酸の一種であるロイシンも不足しやすくなると考えらえています。

 このため、プラントベースド・ダイエットを取り入れるアスリートは、予め口にしない食品に含まれる栄養素を把握し、それに代わる食品やサプリメントなどを意識的に取り入れるなどの工夫が必要です。

 最新の研究によると、市民ランナーレベルであれば、「ビーガン」「ラクト・オボ・ベジタリアン」「動物性の肉も食べる雑食」のいずれも、運動能力に差はないという報告があります。ただし、アスリートのパフォーマンスとの相関関係を示す研究は少ないのが現状です。

 パフォーマンスの向上やコンディションの維持にプラスになることは、常に何でも採り入れたい、というのがアスリートたちの心情。しかし、現在、それぞれの食事療法がアスリートの健康とパフォーマンスにとってどうよいのかの研究事例が少ないため、「何がよい」「何が悪い」という結論は今のところ出ていません。

 食事に占める糖質、脂質の理想的な割合は、競技種目や運動時間、運動強度、シーズンなどによって異なりますし、極端な食事制限を自己流で取り入れると、かえって栄養状態を悪くし、体重や体脂肪率の増減、コンディションやパフォーマンスの低下を招きやすい。

 もし「試してみたい」という場合、可能であればスポーツに精通した医師や公認スポーツ栄養士/管理栄養士のアドバイスのもとで行うこと。そして、すぐに試合や記録への影響が心配されるオンシーズンは避け、まずはオフシーズンにトライすることを提案します。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

 ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJリーグ横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けてのスポーツ食講座なども行う。著書に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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