高校教員に突然の電話「社長やんねえか」 59歳、スタッフ11人から始まった30億円クラブの礎――群馬クレインサンダーズ・阿久沢毅
男子プロバスケットボールの新たなトップカテゴリー「B.LEAGUE PREMIER(Bプレミア)」が9月22日に開幕した。B1で2年連続チャンピオンシップ(CS)に進み、昨季はクラブ最多の42勝(18敗)を挙げた群馬クレインサンダーズは、初代王者を目指す。

Bプレミア初代王者を狙う群馬…まとめるのは甲子園の“王2世”
男子プロバスケットボールの新たなトップカテゴリー「B.LEAGUE PREMIER(Bプレミア)」が9月22日に開幕した。B1で2年連続チャンピオンシップ(CS)に進み、昨季はクラブ最多の42勝(18敗)を挙げた群馬クレインサンダーズは、初代王者を目指す。
そのクラブをまとめる阿久沢毅社長は、1978年春の選抜甲子園で王貞治以来20年ぶりとなる2試合連続本塁打を放ち、“王2世”と呼ばれた桐生高(群馬)の元球児だ。プロには進まず、35年間の教員生活を経て、定年を目前にした59歳で異競技の世界へ。就任当時、事務所で働いていたのはわずか11人で、売上高は2億~3億円規模だった。それが昨季は30億円まで伸びた。クラブはいま新リーグの舞台に立つ。(全3回の1回目)
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阿久沢氏が転身を決めたのは2019年12月。きっかけは、40年以上前の高校野球だった。
1978年6月、大阪に遠征してPL学園高との招待試合に臨んだ際、のちに広島などで活躍する金石昭人氏から2本塁打を放った。現在クラブのGMを務める吉田真太郎氏が旧知の金石氏に社長候補を相談すると、40年以上前に食らった2発を覚えていた金石氏が「俺は阿久沢しか知らない」と名前を挙げたという。桐生高のエースだった木暮洋氏を介し、突然「社長やんねえか」と電話が届いた。
サンダーズの存在は知っていたが、クラブにも競技にも特別な関心はなかった。思いがけない誘いを受けた時、教員生活は定年を目前にしていた。「59歳になれば、安定も何もないでしょう。定年が1年早いか遅いかだけの話だから。違うことをやってみるのもいいかなと思いました」と、畑違いの世界へ踏み出した。

決断から3か月後の2020年3月、Bリーグは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2019-20シーズンの残り全試合を中止した。阿久沢氏がクラブ運営に加わったのは同年4月。プロクラブで最初に取りかかった仕事は、試合を開催するための準備ではなかった。中止となった福島ファイヤーボンズ戦に向けて製作されていたグッズの処分だった。
7月に社長に就任したが、入場制限や除菌など、それまで経験したことのない対応も相次いだ。試合がなくても、対処すべき仕事は次々と押し寄せた。
「11人しかいないんだよ。本当に零細でした。少ない人数で、みんながやりくりしながらやるんで、何となくできたんだとは思います」
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