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高校教員に突然の電話「社長やんねえか」 59歳、スタッフ11人から始まった30億円クラブの礎――群馬クレインサンダーズ・阿久沢毅

2023年4月に完成したオープンハウスアリーナ太田から、阿久沢社長がまとめる群馬クレインサンダーズが頂点を目指す【写真:(C)GUNMA CRANE THUNDERS】
2023年4月に完成したオープンハウスアリーナ太田から、阿久沢社長がまとめる群馬クレインサンダーズが頂点を目指す【写真:(C)GUNMA CRANE THUNDERS】

就任間もなく「VIPルーム付きアリーナ、平均観客動員数4000人、年商12億円」の要求

 阿久沢氏の社長就任1年目、群馬はB2のレギュラーシーズンを52勝5敗で終え、B2優勝とB1昇格を達成した。だが、クラブが新たなトップカテゴリーへ進むには、試合に勝つだけでは足りなかった。

 Bリーグは、2026-27シーズンから競技成績による昇降格をなくし、事業面を重視する新制度へ移行する。施設、入場者数、売上高。参入に向けて示された要求を、就任して間もない阿久沢氏は率直な言葉で振り返る。

「VIPルーム付きのアリーナ、平均観客動員数4000人、年商12億円。いや、本当に無茶言うなよ、という感じでした」

 就任当時の売上高が「2億とか3億とか」だった群馬には、無謀にも思える条件だった。だが、売上は観客がチケットを買い、会場へ足を運んで初めて生まれる。来てくれた人に料金に見合う時間を届け、もう一度足を運んでもらう。VIPルーム付きアリーナ、平均入場者数4000人、年商12億円の3項目は、それぞれ別の話ではなかった。

 本拠地のヤマト市民体育館前橋は、コロナ禍の入場制限下でも観客が1000人を超えると駐車場が足りなくなることがあり、新たな基準との間には大きな隔たりがあった。転機となったのが、2023年4月に完成したオープンハウスアリーナ太田への移転だった。

 プロ興行時に5000席以上を確保する新本拠地で、2023-24シーズンの平均入場者数は5244人を記録。売上高は同年度に20億円を超え、2024-25年度には25億4782万3000円へ伸びた。阿久沢氏によると、2025-26シーズンは30億円に達した。群馬は3項目の基準をクリアし、2024年10月にBプレミア参入が決まった。

 競技面でも、2024-25シーズンに初めてCSへ進出。翌2025-26シーズンも出場し、クラブ最多の42勝を挙げた。B2からB1へ、そしてBプレミアへ。最初の仕事が、中止となった試合のグッズ処分だった阿久沢氏は、新リーグの舞台まで来た。それでも、自らの功績を問われると、即座に否定した。

「社長の力じゃなくて、選手が頑張って、GMが一生懸命チームを作っている。社員も頑張ってくれた。まさに全員でここまできた。俺は何もしてねえんだ」

 9月24日、群馬は本拠地でアルティーリ千葉とのBプレミア初戦を迎える。スタッフ11人で始まった6年を経て、新リーグの初代王者を狙う。

(新井 裕貴 / Yuki Arai)

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