2軍球団の試合に異変、韓国からスカウト集結のナゾ アジア枠創設で高まる注目…NPB行き以外に生まれる道
NPBのニーズと合わない選手にも道…オイシックス武田監督の言葉
その最初の例となったのが、日本の23歳右腕だった。昨季、独立リーグの徳島から白川恵翔投手がSSG、斗山と2球団を渡り歩き、12試合に先発して4勝5敗、防御率5.65という成績を残したのだ。日本でNPBを目指す選手が、韓国ではどの程度のレベルに位置づけられるのか格好のサンプルとなった。終盤に成績を落としたものの、150キロを超える直球は威力十分。前出のスカウトは「日本の選手は、NPB球団にいなくても速いボールを投げられたり、高い技術がある。韓国では十分に通用すると見ています」という。
もし選手を送り出すことになれば、2軍球団の側にもメリットがあるという。オイシックスの武田勝監督は「選手はNPBを目指していますが、これも一つのチャンスだと思います。新しいルートになるというか。ファームリーグが海外にもアピールできる場になりますから」とし、選手の新たな選択肢として大切だと考えている。
「NPBのドラフト指名は、年齢を重ねるとどうしても厳しくなる面があります。そこで海外から今すぐ来てほしいとなれば、移籍を考える選手も出るのではないでしょうか。報酬も高くなるでしょうし」
アジア枠には、アジア野球連盟の加盟国か、豪州の国籍を持つ選手に限るという条件がある。加えて獲得費用も契約金、年俸、オプション、前所属球団へのトレードマネーの合計で20万ドル(約2900万円)以内とされている。条件を精査していくと、NPBの2軍相手に好成績を残している選手の価値が、大きくクローズアップされてくる。
高い実力があっても、NPB球団のニーズに合わず年齢を重ね、ドラフト指名を受けられずに引退していく選手はいる。そこで韓国に渡り、爪痕を残す選手が現れるのか。今後の動きから目が離せない。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)