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高校の部活で挫折したバスケ選手 環境に違和感、転校を決断し切り開いたプロへの道

諦めていたBリーグへ、渡邉拓馬GMが評価した人間力

 インカレ終了からわずか5日後、小室の京都ハンナリーズ加入のニュースが発表され、早速チームに合流。一度夢を諦めた男がB1のコートに立った。「本当に光栄でした。奇跡に近いです。下手したらバスケットボールを辞めていたかもしれない人間なので」。感慨深そうに話す姿が印象的だった。

 京都ハンナリーズのチーム編成を担当している渡邉拓馬GMに契約に至った経緯を聞くと、「小室が醸し出す不思議な魅力ですかね。サイズやスキルではなく『人と人を繋げるような選手が必要』という面で目に留まりました。チームのためにひたむきにプレーし、自己犠牲を払える人材。一瞬の隙を突いた縦のドライブとダンク。大半の若者が目指すドリブル中心のスタイルとは違うところに魅力を感じました。プレースタイルと人間性はイコールという自分の中での考え方もあり、彼が持つ人間力が最大の長所だと評価しました」と答え、まさに小室が白鴎大学で網野HCやチームメートから吸収し、成長した部分が評価されていた。京都ハンナリーズは怪我人が続出するなど苦しい状況が続いていたが、小室は19試合に出場。積極的なディフェンスなど、来季への期待を抱かせるプレーを見せた。

 しかし本人は「自分はまだまだB1で通用するような選手じゃない」と語る。実際に満足のいく成績を残せていなければ、自身の魅力もまだまだ発揮できていない。しかし、どんな相手にも恐れることなく果敢に向かっていくハートの強さがある。

 シーズン中の3月に行った取材で、小室から聞いた言葉を思い出した。小室は自身のプレーの物足りない部分をよく理解し、受け止めている。

「泥臭いディフェンスの部分に意識を高く持って取り組みます。極端に言うと5ファウルしても別にいいくらいの気持ちです。僕の代わりはたくさんいるので。だから、とにかく貪欲に。そうしないとプレータイムも信頼も得られないので。怖さなんかありませんし、ビビることもありません。そんな気持ちじゃ、この世界では生き残れない。引いたら終わりだと思ってます」

 言葉や表情から、確かな熱意が感じられた。続けて小室は言う。「僕は高校を辞めたり、編入したりで家族やいろんな人に心配と迷惑をかけました。活躍して恩返ししたいという気持ちが強いです。チームとしても昨年は14勝43敗と負け続けましたが、これは絶対に成長の糧になります。結果が出てないからといって下を向く必要はないです。とにかく前を向いて、すべての面で成長していきたいです」と成長を誓った。

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笠川 真一朗

1994年生まれ、奈良県出身。龍谷大平安高の野球部マネージャーとして2011年夏の甲子園に出場。立正大学でも野球部マネージャーを務めた。卒業後は百貨店勤務からお笑い芸人の道に進んだ異色のキャリアの持ち主。現在はスポーツライターとして活動し、野球を中心に取材の幅を広げている。

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