[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

ドラフト578位から始まるMLBの現実 最低年俸57万円、トイレ掃除・芝刈りで食い繋ぎ…メジャーリーガーの過酷な下積み時代

「THE ANSWER」はこのほどメジャーリーグに編集部記者を派遣し、昨季ワールドシリーズを制して世界一に輝いたドジャースを中心に世界最高峰の舞台に密着。「スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト」として普段発信しているスポーツと社会のさまざまな課題、ジュニア育成や進路選び、保護者や監督・コーチの指導のヒント……など「THE ANSWER」のサイトコンセプトに照らしたテーマを、MLBを通して短期連載で発信する。第6回は「メジャーリーガーの下積み時代」。4年連続で2桁本塁打を放っているアスレチックスのセス・ブラウン外野手は、マイナー時代にトイレ掃除や芝刈りなどで生計を立てていた過去を持つ。苦労人が夢を掴むための過程と、必要な心構えを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

アスレチックスのセス・ブラウン【写真:Getty Images】
アスレチックスのセス・ブラウン【写真:Getty Images】

「THE ANSWER×MLB現地連載 #6」――メジャーリーグ取材から探る「アンサー」

「THE ANSWER」はこのほどメジャーリーグに編集部記者を派遣し、昨季ワールドシリーズを制して世界一に輝いたドジャースを中心に世界最高峰の舞台に密着。「スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト」として普段発信しているスポーツと社会のさまざまな課題、ジュニア育成や進路選び、保護者や監督・コーチの指導のヒント……など「THE ANSWER」のサイトコンセプトに照らしたテーマを、MLBを通して短期連載で発信する。第6回は「メジャーリーガーの下積み時代」。4年連続で2桁本塁打を放っているアスレチックスのセス・ブラウン外野手は、マイナー時代にトイレ掃除や芝刈りなどで生計を立てていた過去を持つ。苦労人が夢を掴むための過程と、必要な心構えを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

足を速くしたい、打率を上げたい…野球上達に“必須の能力”を学ぶ「運動神経向上LIVE」開催

 ◇ ◇ ◇

 華やかなメジャーリーグの舞台。しかし、スポットライトの外には厳しい現実の世界が広がっている。年に何十億円もの大金を稼ぐ選手がいる一方、明日の保証もないマイナーリーガーの中には、副業で何とか生計を立てる者もいる。現在アスレチックスと1年270万ドル(約3億8800万円)の契約を結んでいる32歳のブラウンも、7年前はその1人だった。

「家賃や学生ローンを払ったら、もうほとんど何も残っていなかった。生活を維持し、野球を続けるためにオフシーズンは毎年働かなくてはいけなかった。何だってしたさ。トイレ掃除をしたり、ゴルフコースで働いたりね」

 アイダホ州のルイスクラーク州立大出身。2015年のMLBドラフトで19巡目(全体578位)指名を受け、アスレチックスに入団した。米野球専門誌「ベースボール・アメリカ」によると、当時ルーキーリーグの最低年俸は4800ドル。その時の為替レートでおよそ57万円に過ぎない。2023年から1万9800ドルに改善されたが、ブラウンは最初の2年間、生活費をまかなうためにオフシーズンに同州の公園緑地課で勤務。トイレ掃除や芝刈りなどをして過ごした。

「朝は早かったよ。毎朝4時半に起きて、5時半には仕事を始めていた。午後1時か2時ぐらいまで働いて、それからジムに行ったり、打撃練習をしたりという毎日だった」

 メジャーに辿り着ける保証はない。2018年、当時まだ婚約者だった現在の妻から「今後を真剣に考えるなら、学士号だけは取ってほしい。そしたら好きなだけプレーし続けていいから」と懇願された。MLBドラフトでは、大学生は3年目を終えれば卒業を待たずとも指名資格を得る。ブラウンも卒業せずにプロの世界に飛び込んでいた。婚約者を安心させるためにも、バットとともに再びペンを握った。

 レギュラーシーズン中にオンライン授業を受講。「試合後に勉強したり、テストを受けたりしていた。散々な試合の後でも宿題をやらないといけなかったから、むしろ良い気持ちの切り替えになったよ。バス移動が長かったからそこでたくさん読書して、宿題も終わらせることができた」。オフシーズンには単位取得の一環として同州の魚類野生生物課で働き、同年に刑事司法の学位を取得した。

1 2
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
CW-X
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集