ドラフト612人から指名漏れ…“無名”から世界一軍団ドジャースで居場所を確立 「毎日を決戦のように扱え」夢を叶えた思考
逆境でもがく若きアスリートへ助言「毎日を決戦の日のように扱うこと」
実戦から遠ざかっていても、地道に磨き上げた投球はスカウトの目に留まっていた。
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MLBでは、ドラフト指名されなかった有資格選手はフリーエージェントとなり、全球団と交渉できる。失意の指名漏れから数週間後、朗報が届いた。「ドジャースが最後にいいオファーをくれたんだ。他にも数球団から誘いがあったけど、常に球界トップにいる球団だし、とても興奮したよ」。迷わず契約を決めた。
2021年8月にマイナー契約を結び、2022年6月に初登板。ルーキーリーグで12試合に投げ、防御率1.50と好成績を残した。2年目以降も好投を続け、2024年には順調に3Aまで昇格。だが、MLB公式サイトの有望株ランキングでは、球団トップ30にさえ一度も入らなかった。決して期待値が高かったわけではない。
それでも2025年、開幕ロースターの座を掴み、東京シリーズでメジャーデビューを果たした。
「球団は僕の努力家なところ、賢く、キャリアを考えているところを見てくれたんだと思う。次第にもっと期待してもらえるようになった」。浮き上がるようなフォーシームを武器に、今では複数イニングも任せられる貴重な救援左腕として地位を確立。それでも変わらず、淡々と自分のやるべきことを徹底し続ける。
日本でもドラフト会議で指名漏れが毎年話題になる。夢破れた者は白球を置く選手もいれば、諦めずに大学・社会人、独立リーグ、さらには海外など、別のカテゴリーに進んでチャンスを掴もうとチャレンジを続ける選手もいる。それは野球に限らず、どのスポーツにも共通することだ。
逆境の中でもがく若きアスリートへのアドバイスを求めると「毎日を決戦の日のように扱うこと。プレーしていない時も、怪我している時も、ピッチングする日と同じように着手しなければならない。信念を持って毎日挑戦し続けていれば、良いことが起こる」と返ってきた。
大学時代からMLB入り後も“無名”の存在としてキャリアを過ごしながら、道を切り開いたドライヤー。
小さなことでも、目の前のできること一つひとつに正面から向き合う。その積み重ねの先に、成功が待っている。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)