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廃部危機を乗り越えて― 騒動から半年、再始動したトヨタ自動車が乗り越えるべき壁

スティーブ・ハンセン【写真:Getty images】
スティーブ・ハンセン【写真:Getty images】

NZの名将ハンセン氏も視察「まだナンバーワンチームじゃない」

 そして、チームを後押しするように、名将ハンセン氏もニュージーランドから駆け付けた。コーチ、スタッフとしてオールブラックスをワールドカップ2011、2015連覇に導いた名将は、「多くのエネルギーを感じたし、さまざまなスキルも見えたが、まだナンバーワンチームじゃない。これから何をやらなければいけないか、様々なことを決めていかないといけないと思う。そして私も、日本のラグビーについて沢山学ぶ必要があります」と今後の強化への意欲をみせた。

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 世界最高峰の舞台で常に勝つことをノルマとして戦い続けてきたハンセン氏の経験値が落とし込まれれば最高の追い風になる。チームにとっては、同じニュージーランドで名将とうたわれるウェイン・スミス氏が総監督として神戸製鋼の昨季トップリーグ制覇で果たした貢献を、ハンセン氏に期待したいところだろう。

 開幕までの時間との戦いも強いられる中で、トップリーグ初参戦に挑む福田が、今季への意気込みを語った。

「勝つことが、いい成績を残すことが、僕らを支えてくれたファン、職場の仲間への恩返しになる。勝たないとダメですね」

 汚名返上をかけたシーズンで目指すのは、昨季のトップリーグ・カップ優勝を上回る成績だ。さまざまなハードルを越えなければ辿り着けない高い目標だが、トヨタ自動車ヴェルブリッツのメンバーに不安はない。廃部の危機を乗り越えたタフさと、ピッチの上での完全復活にかける強い思いを武器に、試練のシーズンのキックオフを待つ。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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