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廃部危機を乗り越えて― 騒動から半年、再始動したトヨタ自動車が乗り越えるべき壁

不祥事からの再始動、課題は山積みも「ラグビーが好きなんだと…」

 しかし、豊田章男社長ら首脳陣の判断はチームの存続だった。社外のファンはもちろんだが、多くの社員にとっては、創部70年を超えるラグビー部の活躍が励みになっていたからだ。トヨタ本社は8月8日の会見で、ラグビー部全選手、スタッフの薬物検査や重点強化部からの除外などの処分を発表。選手の勤務時間の優遇やチーム運営費が縮小される中で、ようやくこの日の実戦復帰までたどり着いた。

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 福田は苦悩の時期をこう振り返った。

「むちゃくちゃ不安でしたよ。入社1年目で、最初に発覚したときは何が何だかわからない状況だったけれど、2人目がでたときは正直もう終わったなと思いました。最悪の場合、もちろん廃部という選択肢もあった。先が見えない状態でそれぞれ個人練習をしていました。仕事が終わった後に、家の近くのジムなどで練習をして、とりあえずやっているという感じでした」

 8月からは個人練習を再開したが、チーム練習ができないことは組織としての戦術が重要のラグビーにとっては致命的だ。コーチ陣の刷新で、新しい戦術の落とし込みが必要だったことも、チーム強化には大きな障害だった。

 この日の試合で1トライをマークしたWTB小原政佑は「1週間前に神戸製鋼と合同練習をしましたが、新しいシェイプとかになってから初めての実戦ですし、みんなが思っているよりもちょっとうまくコミットしてないところがあった。11月の再始動から新しい戦術を大急ぎで毎日詰め込んでいて、そのためミーティングも時間をかけている。はじめの時期は、いる場所の選手がいないとかもありましたし、きょうもパスの感覚が伸びたり、浅くなっていたりしていた」とチームの成熟には、まだ時間がかかることを認めた。

 戦術面、チーム作りでは、残り1か月あまりで開幕という時間との戦いが課題になる一方で、小原にとっては謹慎期間があらためてラグビーと向き合うためのいい機会だったという。

「事件があって自問自答する日々がありました。ラグビーをしてもいいのか、本当に自分はラグビーが好きなのかというところまで。でも、きょう(試合を)やってみて、ラグビーが好きなんだなと再認識できました」

 練習時間も段階的に伸ばしているが、他チームに比べると強化が出遅れているのは否めない。その逆境の中で、選手1人1人が小原のようにラグビーに打ち込めることへの喜びを再認識して力に代えることができれば、新たなトヨタの強みが生まれるかも知れない。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19年と6大会連続で取材。

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