[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

「パット、下手じゃないよ」 全英制覇・桑木志帆の“思い込み”を解いた異色ハンドボール出身女性コーチの分析力

今季の全英女子オープンが開催されたロイヤルリザム・アンド・セントアンズGCで記念写真に納まる岩本砂織コーチ(左)と桑木志帆【写真:Respo ism提供】
今季の全英女子オープンが開催されたロイヤルリザム・アンド・セントアンズGCで記念写真に納まる岩本砂織コーチ(左)と桑木志帆【写真:Respo ism提供】

目つきが変わった全米女子オープン

 岩本コーチは、桑木の成長を14位に入った6月の全米女子オープンで感じていたという。

【注目】「この体重でも跳べるんだ」 月経異常や骨密度低下を経験、引退後に気づいた数字に縛られない体作り(W-ANS ACADEMYへ)

「会場のリビエラは見た目以上に難しいコースで、100ヤード以内で『これを寄せないとボギーになってしまう』というピンチが何回もありましたが、最終日の前半にそういう状況を3つぐらいクリア(パーセーブ)したんですね。そうしたら、彼女の目つきがガラッと変わったんです。ここで、パーオンできなくてもパーが取れる楽しさを知ったと感じましたし、この経験が全英女子オープンのプレーオフ1ホール目の第3打につながったと思っています」

 岡山県出身の桑木は4歳からゴルフを始め、岩本コーチとの契約前までは本格的な指導を受けずにここまで歩んできた。山口県出身の岩本コーチ自身は、高校時代までハンドボールに打ち込んでいた。

「岡本綾子さんの活躍をテレビで見て、こんなに稼げるプロゴルファーになりたいと思いました。でも、ゴルフ部がなかったので、まずは体のバネと体力をつけるためにハンドボールをやりました」

 卒業後の1992年、フジテレビとホリプロが企画した女子プロゴルファー育成プロジェクトのオーディションに合格して渡米。ゼロからゴルフを始め、米女子ツアー通算88勝のキャシー・ウィットワースやキャシーの師匠であるハービー・ペニックに指導を受けて、同ツアーの下部ツアーを転戦。並行してレッスンのスキルも磨き、帰国後の04年、05年に服部道子のコーチを務めた。その後に契約した伊藤佳子の勧めで、大学生やジュニアを指導するようになり、14年にはJGAナショナル強化委員会テクニカルコーチに就任。そして、自身にとって通算3人目の契約プロとして桑木のサポートに携わるようになり、今後の話も進めている。

「私が次(試合会場へ)行くのは、メジャーのソニー日本女子プロ選手権です。オフの週にコースの下見へ一緒に行って、準備していきます。米女子ツアーが主戦場になる来季は今後、話し合って私が行く試合を決めていきます。ジュニアの指導や自分のスタジオでの仕事も続けていきます」

 つきっきりではなく、程よい距離感。これを保ちながら、桑木が描く未来にも期待している。

「人間性も素晴らしいのですごく楽しみです。全英に勝った後、志帆ちゃんと最初に話したのは『これから世界的にも注目されるから、みんなに愛されて、尊敬される選手になっていこう』でした」

 他の4つの海外メジャー優勝も目指すが、両者で一致している最大の夢は「全米女子オープンで勝つ」だ。岩本コーチにとっては、自分がゴルフを学んだ国の最も権威ある大会であり、桑木にとっては自分を変えてくれた大会。そこを目指し、この先もともに歩んでいく。

■岩本砂織(いわもと・さおり) 1971年7月21日、山口・周南市(旧徳山市)生まれ。高水高を卒業後、渡米。ゴルフを一から学び、プレーヤーとして活動しながら、トレーニング理論やメンタル、マネジメントなどの指導法を習得、2004~05年には服部道子のコーチを務め、ツアー優勝をサポート。その後、日本ゴルフ協会(JGA)ナショナル強化委員会テクニカルコーチや日本オリンピック委員会の強化スタッフを歴任。17年にはJLPGA「ティーチャー・オブ・ザ・イヤー 清元登子賞」を受賞。個々の視覚、聴覚、触覚や骨格のクセなどを観察し、体に負担がなく再現性の高いスイングを作る「コアルーティーンメソッド」を提唱。

(柳田 通斉 / Michinari Yanagida)

1 2
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
ABEMA
docomo
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集