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巨額赤字の日産自動車、野球部の敗退に社長が「皆さんは勝っている」 意外な言葉に込めた存在理由…再建に繋がる“精神”

歓喜の東芝ナインを横目に悔しそうな日産の石毛主将【写真:羽鳥慶太】
歓喜の東芝ナインを横目に悔しそうな日産の石毛主将【写真:羽鳥慶太】

社長や社員の温かさに「甘えてちゃいけない」という理由

 社会人野球を取り巻く状況は決して甘くない。日産のように、長期の活動停止から復活を選ぶ企業は稀だ。今季限りで都市対抗に57回の出場を誇るパナソニックが休部、平成不況で休廃部が相次ぐ中で部を立ち上げ、20年間活動してきたセガサミーが廃部となる。

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 その中で日産は、経営トップが球場のスタンドを訪れ、チームへの愛情を口にしてくれる。伊藤監督は「本当にありがたいですよ」と感謝した上で続ける。

「だからこそ、それにいつまでも甘えてちゃいけないんです」

 地区を代表する強豪のENEOSに逆転勝ちし、勢いをつかんで臨んだはずの代表決定戦。2度のチャンスを連敗して終わった。復活2年目のチームがよくやったという見方もできるが、指揮官は「投手も打者も、まだ絶対に負けられない、絶対に抑えないといけないところのアプローチの仕方というか、本当の強さがまだ足りない」と見ている。横浜スタジアムでの3試合は、いずれも先制された。追い上げるまでにも時間がかかる。自分たちのペースを作った経験が絶対的に足りないのだ。

 休部前の日産は、土壇場での強さに長けたチームだった。伊藤監督も、四之宮洋介ヘッドコーチも、宮田仁投手コーチも、その中で生き残り、日本代表まで務めた選手だ。それでも“勝ち方”を伝えるのは「難しいですよ」と伊藤監督も認めるところだ。

「以前の日産は厳しいベテランがいて、そのプレッシャーの中で居場所を作った選手だけが生き残れたチームでしたからね」。しかし全員が入社2年未満という現在のチームに、そういう存在はいない。勝負どころでストライクが入らない、あと一歩打球に追いつけないのはなぜか。練習からもちろん注意はするが、言葉にかつてほどの厳しさはない。時代が変わったという背景もあるが「言っても仕方がないんです」という側面があるのだ。

「彼ら選手たちが実際に経験して、本当の悔しさが中から出てこないとわからないんですよ。絶対にストライクを取る、どんな打球が来ても捕るつもりで、練習からやらないといけない。でも実際には『ドンマイ、次、次』となってしまう。社員の皆さんの前で負けるのがどういうことかわからないと、練習から変わることはできないんです。だからこの負けで、選手からそれが出てくるんじゃないかと期待しているんです」

 スタンドからの大声援で、声かけも届かないグラウンド。そこで一人になったときどうすべきかは、勝ち負けがかかった瞬間でしか学べない。夏の敗戦で野球部に起こるはずの変化はまた、日産自動車という企業にも必要なものであるはずだ。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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