パワー偏重時代…チェコが示した野球の面白さ 満員の東京Dを魅了、コーチが指摘した日本との“共通点”

日本人がチェコ野球にハマる理由…コーチが指摘した共通の“歴史”
「侍ジャパンの選手たちが私のピッチングに拍手を送ってくれたことは、私にとって何事にも代えがたい経験でした。私はNPBでの彼らのプレーを見てきました。今こうしてミヤギやタカハシ(=宏斗、中日)投手らと握手をしたり、一緒に写真を撮ったりすることができ、本当に幸せです」
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サトリアは「チェコでは誰も私のことを知らないよ」と笑ってみせる。それが海外で、ここまで愛されるのはなぜだろうか。ハジム監督もこの場面を「すべての選手にとっての夢です。4万5000人の満員御礼。チェコのファンだけでなく、日本のファンもたくさん彼を応援してくれました。彼はフィールド上で、私と同じように日本を感じていたと思います」と表現した。日本人がチェコの野球に心奪われる理由は、彼らの野球スタイルにも理由がありそうだ。
今回、チェコ代表に加わった日本人コーチの田久保賢植氏は「エンドランとか、サインを出すじゃないですか。その時、作戦を必死に成功させようとする姿が、日本の野球と同じなんですよ」と指摘する。個の凄さよりも、チームが一つになって戦おうとする姿勢が、日本とチェコには共通しているとみている。
田久保氏はこの傾向は、歴史からきているのではないかという。野球のイメージが薄い欧州で、強国と言えばオランダとイタリアだった。チェコの野球はこの両国にパワーでは勝てなかった歴史がある。これは言ってみれば、日本の野球が米国にパワーで敵わず、他の長所を見つけようとした流れと同じなのだ。サトリアの投球も同じだ。パワーがなければ、他に違ったものを見つければいい。工夫を重ねて戦う野球が、両国のベースにある。
10日の日本戦では、昨季限りで広島を戦力外となり、今季からチェコ・エクストラリーガでプレーする宇草孔基外野手もスタンドから観戦していた。「チェコの中ではまだ野球はマイナースポーツだと聞いています。でもそれを盛り上げようとする姿だったり、戦う姿がさわやかで魅力的だなと感じています」と移籍を決めた理由を口にする。チェコの多くの選手と同じように、別に仕事をもってのプレーが予定されているが「素晴らしい経験にしたい」と、すでに語学の勉強を進めている。
元ロッテの荻野貴司外野手も、強豪のドラッツイ・ブルノと契約し、チェコと日本の野球をつなぐ人の流れは、どんどん太くなっている。サトリアは代表からは退くものの、地元のアローズ・オストラバで現役を続け、今季は日本人選手との対決も期待される。
2度のWBC参戦で、ここまで強くなった日本とチェコの絆。ハジム監督は来年のプレミア12予選、更に本大会を最後に監督から退く意向を口にしたが、新たな世代がチェコと日本の野球をつなぎ続ける。さわやかで、相手への敬意にあふれる選手たちが、きっと新たな驚きをくれる。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)
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