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医大生が選んだプロ選手との兼業「できるのは自分だけ」 1200km離れひとり練習「好きすぎるんです」―アイスホッケー・矢野竜一朗

医大生として学ぶ一方で、プロのアイスホッケー選手としてもプレーするキャリアを選んだ選手がいる。日本のトップ「アジアリーグ」に今季から参戦したスターズ神戸のFW矢野竜一朗だ。ただでさえハードな学生生活。さらに学んでいるのは北海道旭川市で、チームが活動する神戸とは約1200キロ離れている。普段は個人練習を積み、試合でチームと呼吸を合わせていくという特異な環境。オンリーワンの競技人生の裏側を聞いた。

医大生でありながら、プロのアイスホッケー選手としてもプレーする矢野竜一朗【写真:羽鳥慶太】
医大生でありながら、プロのアイスホッケー選手としてもプレーする矢野竜一朗【写真:羽鳥慶太】

ハードな医学部生活と並行してプロ生活の理由「下に見られているんです」

 医大生として学ぶ一方で、プロのアイスホッケー選手としてもプレーするキャリアを選んだ選手がいる。日本のトップ「アジアリーグ」に今季から参戦したスターズ神戸のFW矢野竜一朗だ。ただでさえハードな学生生活。さらに学んでいるのは北海道旭川市で、チームが活動する神戸とは約1200キロ離れている。普段は個人練習を積み、試合でチームと呼吸を合わせていくという特異な環境。オンリーワンの競技人生の裏側を聞いた。

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 現在26歳の矢野は、旭川医大の4年生。プロのアイスホッケー選手となるのは今回が初めてではない。2022年から2年間休学し、釧路を本拠地としていたひがし北海道クレインズでプレーしたことがある。ただ、休学制度には2年までというルールがあった。2023年末に横浜市で行われた全日本選手権を最後にトップレベルの競技から退き、白衣の生活に戻ったはずだった。

 ところが今年9月、突然スターズへの入団が発表されたのだ。もう一度競技生活を送ろうと思ったのは、矢野が選手として育ってきた環境が大きく影響している。出身は福岡市。アイスホッケーのイメージが希薄な土地だ。

「西日本のチームでなければ、またやろうとは思っていません。選手には戻っていないでしょうね」と矢野は言う。日本でのアイスホッケーは、寒冷地に偏ったスポーツ。アジアリーグのチームの所在地も、北海道苫小牧市、青森県八戸市、栃木県日光市と氷のイメージがある土地が並ぶ。実際には屋内スポーツで、リンクさえあればできるのだ。世界最高峰のN HLでは温暖な米フロリダ州に2つもチームがあるほどだ。

「中学まで福岡でホッケーをやってきて、練習環境とかもそうなんですけど、やっぱり下に見られてもいるんですよ。当時から悔しい思いが強くて。福岡でもこれだけやれるんだとずっと示したいと思ってやっていました」

 矢野は高校から、ホッケーどころ北海道にある進学校・苫小牧東高に進んだ。3学年上の兄・倫太朗が先に進学し、道を作ってくれていた。兄は中央大卒業後、広告代理店勤務とのデュアルキャリアでプロ選手となり、今回神戸の結成にも選手として加わっている。誘いがかかるのは自然の流れだったのかもしれない。

 西日本でも、アイスホッケーはできる。競技人口が激減しているこのスポーツの未来を考えたときに、開拓が必要な土地だ。矢野は誰よりもそう思っていた人間だった。だから「このチームができた時、何らかの形で加わりたいと思ったんです」。最初に求められたのは、選手としてだった。

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