「1月1日が一番嫌い」胸に突き刺さった子どもの言葉 復興半ばの被災地でアスリートは何を伝えられるか
競泳元日本代表の竹村幸さんは2020年12月の現役引退後、元アスリートとしてさまざまな取り組みに携わっているが、そのうちの一つが一般社団法人「ASUWA」での活動だ。昨年12月から今年1月にかけては、石川県輪島市と能登町でのイベントを企画・主催。その模様を本人が「THE ANSWER」に寄稿した。24年1月1日に発生した能登半島地震から1年。震災からの復興途上にある現地で、スポーツの持つ力をあらためて感じたと振り返った。

「当たり前の日常」への願い、輪島市と能登町でイベント開催
競泳元日本代表の竹村幸さんは2020年12月の現役引退後、元アスリートとしてさまざまな取り組みに携わっているが、そのうちの一つが一般社団法人「ASUWA」での活動だ。昨年12月から今年1月にかけては、石川県輪島市と能登町でのイベントを企画・主催。その模様を本人が「THE ANSWER」に寄稿した。24年1月1日に発生した能登半島地震から1年。震災からの復興途上にある現地で、スポーツの持つ力をあらためて感じたと振り返った。
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「また地震があったらどうしたらいい?」「1月1日が一番嫌いになった」
能登の子どもたちから聞こえてきた言葉が、胸に突き刺さる。
2024年12月。私は現役アスリートたちとともに被災地へ向かった。被災地から離れた場所では震災の記憶が薄れつつあるが、ここでは今もなお、その爪痕が人々の生活に色濃く残っている。震災からの復興は、単に道路や建物を修復することではなく、そこに暮らす人々が心の元気を取り戻すことも必要不可欠だ。

今回、私たちアスリートが立ち上げた一般社団法人「ASUWA」は、能登半島にある輪島市と能登町でのイベントを企画・主催した。このイベントの目的は、能登の子どもたちに思いきり体を動かす機会を提供し、楽しい時間を過ごしてもらうこと。そして能登を想うアスリートの存在を伝え、少しでも心の支えに、そして震災前の「当たり前の日常」を取り戻す一歩につながってほしい、という願いが込められていた。
スポーツは単に身体を鍛えるだけでなく、人と人をつなぎ、社会とのつながりを生む力を持っていると感じている。また、そこには楽しさや喜びだけでなく、挑戦や成長の機会も多く含まれている。
私たちは能登の子どもたちが運動を通じて助け合い、支え合うことで、前を向く力を得たり、震災前の「当たり前の日常」を取り戻す一歩につながると信じ、このイベントを開催することを決めた。
まず、2024年12月25日、輪島市では「わじま大すきじどうクラブまつり ~からだをうごかそう~」を開催。地元の児童クラブに通う子どもたち約105名が参加した。

震災後、多くの体育館が使えなくなり、子どもたちが思いきり走り回れる環境が減少している。私たちアスリートにとって、スポーツができる環境は当たり前のものだったが、ここ能登では、その「当たり前」が失われ、子どもたちは自由に体を動かせる場所を求めていた。
みんなで進化じゃんけん(決まったポーズでじゃんけんをし、勝つたびにポーズが進化していくというゲーム)や、タグ鬼ごっこ(お尻につけたタグを取り合う鬼ごっこ)でアスリートと子どもたちが一緒に走り回った。鬼ごっこではアスリートが鬼になると、子どもたちは必死に逃げ、体育館中に笑い声や「めっちゃ速い!」と元気な声が飛び交った。