「韓国では誰もしません」女子野球のエースが“感服”した日本流 世界のレジェンドに憧れ来日のワケ「道を作る人に」
世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が発表する野球の世界ランキングで、日本女子は1位を守り続けている。昨年もワールドカップ7連覇を達成した“女子野球大国”だ。そこに10位の韓国から挑戦してきた選手がいる。代表のエース右腕、キム・ラギョン投手は今季から埼玉西武ライオンズレディースに加入。2度目となる日本挑戦の目的や、学んだことを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)

ライオンズレディースに加入したキム・ラギョンは韓国の先駆者
世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が発表する野球の世界ランキングで、日本女子は1位を守り続けている。昨年もワールドカップ7連覇を達成した“女子野球大国”だ。そこに10位の韓国から挑戦してきた選手がいる。代表のエース右腕、キム・ラギョン投手は今季から埼玉西武ライオンズレディースに加入。2度目となる日本挑戦の目的や、学んだことを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)
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どうしても、もう一度日本に来たかった。
キム・ラギョンは2022年にも来日したことがある。大学を休学してまで実業団チームのアサヒトラスト入りしたもの、初めての試合で投球練習中に右肘を故障。断裂した靭帯を移植でつなぐトミー・ジョン手術を受け、2年を超える長いリハビリ期間を送った。ようやく思い切りプレーできるようになった昨夏以降、再挑戦の機会を探した。自身の投球や打撃の映像を日本の複数チームに送り、興味を持ってくれたのがライオンズレディースだった。
大学の教職課程の合間を縫って、日本でトライアウトを受けた。さらにオンラインで面談を10回以上重ね、大学を卒業した今年2月末に入団。ここまでわずか3か月ほどだが、濃密な時間を過ごしてきた。特に感謝しているのが、日本女子代表のエース、里綾実投手との出会いだ。
高校1年だった2016年、韓国・プサン近郊のキジャンで女子ワールドカップが行われた。韓国代表の一員として出場していたキム・ラギョンは、日本を優勝に導いた里に目を奪われた。「その時はお話できなかったんですけど、うわあ、カッコいいと思って。日本に行きたいという夢を作ってくださったんです」。
35歳になる大先輩との出会いは「印象的なことばかりでした」と、真剣な目で振り返る。「年齢を重ねても、意思があれば野球はできるのを示してくれました。近くに来てもっと尊敬できるようになりましたし、いつもめっちゃ本気なので。チャレンジする意識を学びたい」。里は世界の女子野球を代表する投手という座にも安住せず、今季はカナダの男子独立リーグに、初めての女子選手として加入。チャレンジを続けている。