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「学生とは違う、プロ意識を持って」 VS大学で必要だった完全V、トヨタ自動車に実業団のプライド

レース後に会見を行った熊本監督【写真:柳瀬心祐】
レース後に会見を行った熊本監督【写真:柳瀬心祐】

熊本監督が選手に伝えた言葉「学生とは立場が違う、プロ意識を持って」

 熊本監督も選手たちも、みな「歓喜」というよりは「安ど」の表情だった。箱根駅伝を沸かせたランナーたちが、後輩に負けるわけにはいかない。いや、競り合うことさえプライドが許されなかったからこそ「完全優勝」が必要だった。

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 メンバー構成には苦労した。「東京と大阪マラソンに7人が出場していて、このメンバーしかなかった」と熊本監督。「選手たちには、学生とは立場が違う、プロ意識を持ってほしいと話した」といい「負けられない中で、しっかり勝ち切ったことは評価したい」と続けた。

 青学大の原監督からは「外国人の起用はいかがなものか」という声もあったが、熊本監督は「万博というのは国際親善だったり、いろいろな文化が交流する場。ケニアの走りを見ていただくのも(万博盛り上げの)ひとつかなと」と巧みな切り返し。もちろん、起用の裏には「負けられない」気持ちもあったはずだ。

 55年ぶりに開催される万博の機運醸成のため、大阪のど真ん中を走った今レース。「大学生も力をつけているし、大学と実業団が切磋琢磨していかないといけない」と熊本監督は話した。もっとも、今後については日程が過密なことをあげて「時期は難しい」。

 最初で最後の大学勢の挑戦に「実業団のプライド」で勝ち切ったトヨタ自動車。記念すべき大会の優勝を祝して、チームには今後移動することはないであろう「チャンピオンベルト」も贈られた。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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