「陸上がダメになる」 大学VS実業団で“嫌われ役”全うした青学大・原晋監督の危機感「だから、真剣に戦う」

「大谷翔平は世界No.1。日本人ですよ。駅伝をやりたいという文化を…」
だから、発言で注目を煽った。大阪で55年ぶりの万博、史上初の大学VS実業団の大会は絶好機。トップ選手の出場を求め、煙たがられても外国人の起用にあえて釘を刺した。
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真意を読み取らず、揚げ足を取って批判する人もいる。しかし、盛り上げに必要なものは「真剣に戦うこと」と声を大にした。
「スター選手がこの場で真剣に戦うこと。スポーツは真剣なほど人を惹きつけると思うんです。だから、陸上界のトップランナーが実業団と大学の対抗戦に対してより真剣になること。強化と普及の両方があるんだという認識で取り組んでいけたら。
この1回だけで終わるのではなく、どんな形だろうと継続する。実業団VS大学の対決を日本の長距離界の柱、文化として強化・普及をしてほしい。私は何度でも言いますよ」
大会発展に向け「反省シート」の作成を提案。今大会の課題を踏まえ、各チームが要望を出す機会を求めた。「駅伝は道路の使用許可が必要。行政の力、スポンサーの力、各チームの本気度。この3要素があって成功するもの」。11分半の取材で繰り返した。
「少子化になりますよ、競技人口はこれからますます減っていきますよ。大谷翔平選手のような人材が野 球ではなく、駅伝をやりたいというような文化を我々が考えていかなければならない。そう、僕は思っています。
ケニア人のみんなが速いわけではない。速くない人もいるでしょ? 日本には立派なトレーニングメソッド、医学があるんです。だから、身体能力の高いアスリートが陸上をやってくれたら、これからケニアやエチオピアに勝てる可能性はあると思っています。
大谷翔平選手は世界No.1でしょ? 日本人ですよ。ベースボールの舞台でNo.1になれるんですから。今の子どもたちは手足が長い。いい体つきの子が走れば、もっともっと未来は開ける。近い将来、私は必ず2時間3分台で走らせます」
今回は、元気な子どもたちに向けた競技普及に加え、万博をかけた「わんぱく大作戦」を発令。教え子の走りには「わんぱく大作戦は50点だなぁ。もう少し思い切った冒険をしてほしかった」と嘆いた。
「駅伝は時計を見て走るんじゃない。前後の選手との流れの中で走るもの。時計を見ず、マニュアルに囚われないギラギラした走りが多くの人に感動を呼ぶ。『コイツ、駅伝に来たらスゲェだろうな!』というような、ガッツ溢れるわんぱくな選手をつくっていきたい」
1970年の万博は3歳。当時は連れて行ってもらえなかった。「生きているうちに駅伝としてPRをさせてもらったことは感慨深い。皆さん、是非万博に行きましょう!」。アピールを忘れず、熱弁を締めくくった。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)