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「スターに憧れる選手にはなりたくない」 引退なでしこエースが見向きもしなかった超大物、13年前の記憶

サッカーの元日本女子代表(なでしこジャパン)FWで代表通算58得点をマークした永里優季が4日、自身のSNSなどで現役引退を表明した。2011年女子W杯ドイツ大会の優勝メンバーで、翌2012年ロンドン五輪銀メダルの立役者となったなでしこ屈指のストライカーは、圧倒的な実力を誇った一方で「孤高」という言葉が似合う選手だった。13年前の夏、英国で目の当たりにした確固たる信念。スーパースターに見向きもしないシーンがあった。

2012年ロンドン五輪に出場した永里優季【写真:Getty Images】
2012年ロンドン五輪に出場した永里優季【写真:Getty Images】

2012年ロンドン五輪で見えた強烈な自尊心

 サッカーの元日本女子代表(なでしこジャパン)FWで代表通算58得点をマークした永里優季が4日、自身のSNSなどで現役引退を表明した。2011年女子W杯ドイツ大会の優勝メンバーで、翌2012年ロンドン五輪銀メダルの立役者となったなでしこ屈指のストライカーは、圧倒的な実力を誇った一方で「孤高」という言葉が似合う選手だった。13年前の夏、英国で目の当たりにした確固たる信念。スーパースターに見向きもしないシーンがあった。

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 とにかく、全てが強烈だった。

 歴代のなでしこジャパン選手の中でも屈指の個性の持ち主だった永里。ドイツW杯優勝で一気に注目され、ロンドン五輪では日本国民の期待を一身に背負っていたといっても良かったなでしこジャパンの中で、取材のアプローチの難しさは私の中で一、二を争っていた。言い方は悪いが、チャラチャラ、チヤホヤしたような接し方や質問ではバッサリ斬られる、といった雰囲気。だが、芯をくった質問をすればとことん答えてくれた。チームの問題点や課題など、遠慮しない物言いが問題になりかけたが、実際のところは的を射た内容が多かった。

 圧倒的なフィジカルを誇り、米国やフランスの大型選手との接触プレーでもなかなか倒れない。ボールを預ければポストプレー、自力での突破、周りへのパス、と何でもできた。2トップを組んだ大野忍とのコンビも絶妙で、まさに頼れるストライカーだった。金メダルには届かなかったが、なでしこをロンドン五輪のファイナルまで導いた立役者だった。

 そんな永里(ロンドン五輪当時は「大儀見優季」で登録)は自分に対しての自信も揺るぎなかった。準々決勝前の練習でのこと。カーディフ郊外に設けられた練習場で調整を終えたチームが帰ろうとしたところ、次に同じ場所で練習を行う英国男子代表が到着した。一早くグラウンドにやってきたのは、オーバーエイジで代表入りしていたライアン・ギグス。イングランドプレミアリーグの押しも押されもせぬスーパースターだ。

 予期せぬスターの登場に沸いたチームメートたち。記念写真を撮ったり、握手をしたりと、その場は華やいだ。しかし、永里は一切見向きもせず、黙々と帰り支度をしていた。「ギグスのところに行かなくていいの?」と聞くと「いいよ、別に。興味ないですもん、スターとか」とつれない返答。そしてこう続けた。

「スターに憧れる選手にはなりたくない。私に憧れる、と言ってもらえる選手になりたいから」

 その一件の後に行われた準々決勝ブラジル戦では1ゴール、1アシストの活躍で勝利。これ以上ない存在感を示した。できないという考えは永里の思考回路の中にはなかったようで、その後のサッカー人生はチャレンジの連続だった。

 2010年にドイツ・ポツダムに移籍し、同年に日本人初のUEFA女子チャンピオンズリーグ制覇メンバーとなり、英国、オーストラリアでもプレー。2020年には男子チームのはやぶさイレブン(当時神奈川県リーグ2)にレンタル加入し、日本で初めて男子チーム(第1種)にプロ登録された女子選手となった。周囲から「無理」「不可能」という言葉が出れば出るほど、不思議と“何とかしてしまうのでは”という考えにさせられた。

 まずは「お疲れさま」だが、たぶん歩みを止めるタイプではないだろう。次の活躍の場は案外、早く見られそうな気もする。

(THE ANSWER編集部・瀬谷 宏 / Hiroshi Seya)

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