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田中希実、苦悩と成長を知った2023年 “ありのまま”で24年へ「こんな私ですがどうぞよろしく」

日本陸上競技連盟は20日、都内のホテルで「日本陸連 アスレティックス・アワード 2023」の授賞式を行った。ブダペスト世界陸上女子5000メートル8位入賞・田中希実(New Balance)は、優秀選手賞を受賞。壇上のスピーチでは今年の葛藤を吐き出した。苦悩と成長を味わい、パリ五輪を迎える2024年は「ありのままの自分」を表現していく。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

授賞式でスピーチする田中希実
授賞式でスピーチする田中希実

陸連アワード

 日本陸上競技連盟は20日、都内のホテルで「日本陸連 アスレティックス・アワード 2023」の授賞式を行った。ブダペスト世界陸上女子5000メートル8位入賞・田中希実(New Balance)は、優秀選手賞を受賞。壇上のスピーチでは今年の葛藤を吐き出した。苦悩と成長を味わい、パリ五輪を迎える2024年は「ありのままの自分」を表現していく。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

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 今年も全力だった。田中はオレンジのパンツスカート系ドレスで登壇。ヘアメイクもばっちり決め、晴れやかな表情を浮かべた。受賞の挨拶では支えてくれた人々に感謝。直後、4分半のロングスピーチで今年を振り返った。

「ありがたいことに、偶然もあって5回連続受賞を続けることができました。昨年度はオレゴン世界陸上で3種目に出場してすごく苦しかったんですけど、自分の中では何かを残すことはできなかったなという悔しさだけが残ってしまいました。そのまま終わるかなと思っていたのですが、昨年度は日本グランプリシリーズチャンピオンとしてこの場にお招きいただき、それがまた次に進む力になったことを今も鮮明に覚えております。

 オレゴンでは結果が大事なのか、過程が大事なのかという考えても仕方ないようなことを悶々と考えていたのですが、今年はひたむきに自分の信念のようなものに向かって進むことで結果や過程があるものなのだなと改めて今、感じているところです。ただ、その信念に向かっていくにあたって自分の感情が揺れてしまったり、苦しさと向き合ったりするのが苦しすぎて、特に身近な人を傷つけてしまいました。

 ブダペスト世界陸上でやっと他者の存在を意識することが大事だと改めて気づくことができました。一旦自分の感情を抑えることができるようになり、自分より他者の存在を意識することで信念にまっすぐ気持ちを揺らすことなく向かっていけるのではないかな、といった発見もありました。世界陸上が今年もまた大きな転換点になったのではないかなと感じています」

 話に一区切りついた直後、「ただ、そこで終わらないのが私の悪い癖で(笑)」と語ると、会場からも笑い声が漏れた。

「他者の存在を意識した時、自分を抑えようとすればするほど、自分というものはまた牙をむいてきて苦しさが襲ってきます。今回はこのような慣れない服装でこの場に立てたことがすごく楽しくて、楽しくて。また、先日はレースも兼ねてホノルルに行かせていただいて、それも楽しくて、楽しくて。

(今年は)そういった苦楽の間で揺れ動く結果になってしまっていました。そうやって自分を見失うこと、他者を傷つけることに繋がりつつあります。来年こそは『ありのままの自分で、あるがままを受け止めてまっすぐに進んでいきたい』と、この機会に改めて感じることになりました。

 そうすることでまた他者との繋がりが生まれ、それをパリ五輪で表現できたら本当に幸せなことです。ただ、まだパリ五輪の参加資格を持っていません。だからこそ真っさらな、真っ白な自分のままで、これから待っている苦しいことを受け止めながら進んでいきたいなと思います。こんな私ですが、これからも皆様、どうぞよろしくお願いいたします(笑)」

 達観した内容ながら、紡がれた本音には大きな拍手が注がれた。

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