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突然の35秒ベスト更新で陸上1万m日本新 塩尻和也の飛躍理由は「指導者が『頼むぞ』と言わない」

高橋監督が「塩尻が3000m障害に向いていない」と語る理由

 高橋監督が「3000メートル障害も確かに強かったけど、細かいハードリングをみるとそこまで向いていないのではないか」と語ると、会見上は笑いに包まれた。隣りに座る塩尻は斜め上を向きながら苦笑い。同監督はお構いなしに続けた。

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「走力はあるので、5000メートル、1万メートルで世界を狙えるのでは。3000メートルで大怪我(19年膝の靱帯損傷)をしたことがある。本人には言っていないけど、今後も続ける中で怪我をされては困るので、“だましだまし”フラットレースをさせてきた」

「チームの大黒柱」と呼ぶほど必要な存在だからこそ、駅伝などを見据えた方針。「ご覧の通りフワっとした感じの選手なので、あまり『頼むぞ』とは言わない。調子がよければ結果を出してくれるので、レース前でも『いつも通りね』と伝える。黙っていても結果を出してくれる選手なので」と全幅の信頼を置く。

 しかし、本人の胸中は複雑だ。

「高橋監督には言っていないけど、結構未練はあって(笑)。怪我をして、東京五輪に向けて(3000メートル障害を)2年くらい走っていなくて自分の中では消化不良。走りたい気持ちはあるけど、僕自身は学生の頃から『どの種目でも勝っていきたい』という気持ちで取り組んできた。今後も3000メートル障害に取り組むかわからないけど、今回は1万メートルで結果が出た。3000メートル障害をもう一回走った時に無駄にはならないと思う」

 参加標準記録27分00秒を切っていれば代表内定だったが、今回はお預けとなった。高橋監督は「塩尻自身のペースを崩さないことが必要。腹八分にして継続してここぞで力を出す。そういう力を持っている」と期待。複数種目の経験が今の塩尻を作り上げていることに間違いはない。塩尻は「監督
コーチと相談しながら」と今後も強くなるために最善を尽くす。

「気持ちではどの種目でも(強くなりたい)と思っている。今は一番近いパリ五輪に向けて1万メートルに取り組んでいければ。まずは参加標準記録を突破しなければ国際大会で勝負するのは難しい。明日から今以上のタイムを目指していきたい」

 視線は早くも次に向いていた。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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