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ラグビー日本代表「46→33人」サバイバル W杯8強超えへ、51日間の強化合宿のポイントは?

「カード対策」も見据えて合宿で目指すタックル強化

 コンタクトエリアの強化のために、オーストラリアから13人制のリーグラグビーの有名コーチを招聘する計画だ。リーグラグビーは、15人制以上にタックルの技術指導が進んでいることで知られ、多くのコーチが15人制に流入してきた。合宿スタートの段階で、タックルという基本プレーに重点的に取り組む理由は「カード対策」だ。

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 リーグワンでも何度も見られたが、世界最高峰のW杯でも、危険なタックル防止のための厳しいレフェリングが導入されるのは間違いない。その厳しさは、大会を追うごとに高まっている。日本代表は、歴代大会でも危険な反則は少ないチームだが、出場国の中でも組織力を武器にするチームにとっては、不用意なハイタックルなどによるイエローカード(10分間の退場)やレッドカードで、14人での戦いを強いられるのは致命傷に成りかねない。そのために、チョークタックルという胸部から肩にかけてのタックルが、頭部や首に入ってしまうことを回避するための精度とスキルアップが大きな課題になる。

 同時に、藤井ディレクターのブリーフィングからはセットプレー、特にラインアウトでのボール確保を重視する戦略も読み取れる。背番号7が定番のオープンサイドFLに関する質問をすると、興味深いコメントがあった。日本にはサイズは小さいが、タックルやジャッカル(接点でのボール争奪)で高いスキルと運動量を見せる選手は少なくない。具体的に名前を挙げれば山本凱(東京SG)、末永健雄(S東京ベイ)らになるが、彼らが選外だったことについて同ディレクターは、こう言及している。

「今はラインアウトを取る高さがないと、1つのオプションが減ってしまうことになる。特に日本のように大きな選手がいないチームで、セットプレーでやられてしまうと、特にイングランドのようなセットプレー重視のチームに対しては、他のところでかなりのレベルがないと入ってこれないかなという感じです」

 相当なプラスアルファがなければ、180センチ前後の世界では小兵のメンバーを1人入れることのリスクは補えないという説明だが、ここにW杯で対戦が決まっているイングランド対策、そして世界のトップに食い込もうと挑んできたジェイミー・ジャパン首脳陣のセレクションポリシーが滲む。1人でも多く高さのある選手が揃えることで、ラインアウトのバリエーションを増やし、ボール獲得率を高めたい。そのためには、180センチ前半のFW選手はリスクがあるのだ。身長180センチのサイズで、今季NO8で大活躍したシオネ・ハラシリ(横浜キヤノンイーグルス)をPR(プロップ)で初招集したことについても、同ディレクターは「FW3列で使うと、どうしてもラインアウトで見劣りする。おそらく第1列で使うしかない。あの突破力を1番でできれば」と説明する。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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