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日本の子供の習い事への熱量は「欧州では考えられない」 モラス雅輝「1人40万で海外遠征も…」

週5日のチームトレーニングを削り「他競技をやらせている」

 また日本の高体連では、成長スピードに関係なく全員に一律のトレーニングを課しているので、早く身体が大きくなった選手たちは負荷に耐えられず故障を繰り返す傾向がある。それに対しモラスがテクニカルダイレクターを務めるザンクト・ペルテンでは、育成年代の選手たちへの繊細な配慮が施されている。

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「15~18歳は、なるべく同じような身体の選手たちを集めてプレーをさせるようにしています。また今までは週に5日間をチームトレーニングに充てていましたが、“そもそも5日間も必要なの?”という疑問が出て3日間に削りました。もう1日は、柔道やキックボクシングなど、他の競技をやらせるようにしています」

 せっかく十分な競技人口を確保しながら、燃え尽きて途中で辞めてしまう選手が多い。

「でも問題点は見えているわけだから」改善できれば伸びしろになると、モラスは未来へ前向きな展望を描いている。

「まだ日本は、ボールがないところのレベルを一気に高められるポテンシャルがある。今までは俊敏性やテクニックを活かして組織的に、と考えられていたようですが、個人的にそれは違うと思うんです。むしろボールがない時の組織力を上げることが、国際レベルで結果を出すことに直結するし、そのほうがきっと日本人の勤勉性が活きる。そういう意味でも、カタール・ワールドカップは1つのヒントになったと思うんです」

 Jリーグで2度の指導経験を持つモラスは、いつかまた日本に戻って仕事をする日を楽しみにしている。(文中敬称略)

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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モラス 雅輝

ザンクト・ペルテン テクニカルダイレクター 
1979年1月8日生まれ。東京都調布市出身。16歳でドイツへ単身留学、その後指導者の道へ進む。オーストリアサッカー協会のコーチングライセンスを保持し、男女のトップチームや育成年代を指導してきた。2008年途中から10年まで浦和レッズのコーチ、19年6月からはヴィッセル神戸コーチとなりクラブ史上初の天皇杯優勝を経験した。21年からは再びオーストリアに戻り、22年7月にザンクト・ペルテンのテクニカルダイレクターに就任した。

加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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