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73歳名将が女子ラグビー初指導の理由 大学日本一6度、10年ぶり指導で「ハッと気づかされた」

グラウンド内外で組織がどう連携するかが重視される時代

「俺の性格なんだね。ラグビーが大好きだから、チームのことを夜も眠れないくらい、ああしよう、こうしよう、この先の試合をどうしようと、どうしても先走ってしまう。でも、もっとじっくり女子ラグビーというものを勉強しないといけないなとも思う。自分自身のきちんとした準備を、もっとやらなければいけない」

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 4月上旬の練習では、グラウンド内でのコーチングは春口監督就任前から指導してきたコーチングスタッフらに任せ、ピッチの外からチームを見守っていた。本当は選手に混じって指導したいところを、1歩引いた位置からチームを見つめ、さらに理解していこうという姿勢を感じた。

 関東学院を率いた時は、監督1人でチームを強化し、結果も残してきた。それは春口監督ならではの手腕と同時に、大学ラグビー自体が1人の指導者でチームの勝ち負けが決まる時代でもあったからだ。乱暴な言い方をすれば“独裁”で結果を残せたのだ。

 しかし、監督という1人の親分に部員という子分がついていくようなチームで勝てた時から20年近くが経った。ラグビーはグラウンド内外で組織がどう連携し、機能していくかが重視される時代を迎えている。勝ち負けもチームの運営も、いかに良い組織を作れるかが重視される時代を迎えている。

 一度最高峰に立った指導者が、新たな挑戦でも同じ高みに立つためには、往年の勝つためのエッセンスを落とし込みながら、どこまで柔軟性を持ち、自己変容できるかが勝負になる。選手、チームの強化と同時に、大学最強チームで作り上げた時の、監督、スタッフ、選手全員が家族のような一体感を新天地で築けるか。春口廣73歳。第2章は始まったばかりだ。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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