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73歳名将が女子ラグビー初指導の理由 大学日本一6度、10年ぶり指導で「ハッと気づかされた」

クラブチームとして活動する横浜TKM。選手がラグビーに打ち込める環境を整えている【写真:吉田宏】
クラブチームとして活動する横浜TKM。選手がラグビーに打ち込める環境を整えている【写真:吉田宏】

横濱ラグビーアカデミーでジュニア育成にも尽力

 監督時代の教え子たちもジャージーを脱ぐ年齢を迎えているなかで、多くの才能を開花させた。現役では2019年ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会でも脚光を浴びたPR(プロップ)の稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、過去には箕内拓郎、霜村誠一ら日本を代表する選手を数多く育てるなど、ラグビー界への貢献は計り知れない。

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 その名将が新たな挑戦の場に選んだのは、関東学院大とは大きく異なるチームだった。男子でも学生でもなく、7人制も重視する女子クラブチームだ。73歳という年齢で、ラグビーという以外は前任の地とは全く異なる世界に飛び込んだ理由を聞いた。

「もちろん声をかけていただいたことが大きい。すぐに『やろう』と思ったね。横濱ラグビーアカデミーで子供たちを教えてきたが、そこで女子もたくさんいたので興味はあったんだ。可能性がある。女子ラグビーの受け皿を作りたいという気持ちだった」

 横濱ラグビーアカデミーは、春口監督らが2003年に横浜市内で立ち上げたNPO法人のラグビースクールだ。関東学院大を最強チームに育てながら、ミニラグビー、タックルのないタグラグビーを中心にジュニア世代の育成にも力を注いできた。大学監督退任後も変わらずに続けてきた子供たちへの指導を通じて女子選手の可能性を実感し、同時に基本スキルの精度アップや、ラグビーにどう向き合うかという土台の構築がまだ十分ではないとも感じていたという。

 そして、その話しぶり、表情からはもう1つの大きな就任理由が読み取れる。関東学院大全盛期の取材でも強く感じたことだが、どんな時もグラウンドで選手を指導するのが大好きな指導者の姿だ。春口監督自身も「やはり俺は監督よりもコーチのほうがいいなと思うんだ」と苦笑する。

 そんな根っからの“教え魔”の指揮官も、2月の横浜TKM監督就任から1か月以上が過ぎた。現場で練習を見つめるなかで、チームの現状も見えてきたという。

「選手たちを最初にぱっと見た時はね、パスとかも、おお格好いいじゃないか、きれいじゃないかと思ったけれど、時間をかけて見ていると、練習のための練習をしていないかな、このプレーって実戦の勝負で生かせるだろうかと、いろいろと思うところが出てくる。ちょっとずつ、そんなことが見えてきたけれど、やるからには関東学院と一緒で日本一を目指したい。そうなると、求めるものもどうしても厳しくなっちゃうんだ。今も怪我人が多いけれど、やっぱりまだまだ華奢な子も多い、キック力もつけていかないと」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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