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夢はカエル界のさかなクン ボクサー引退の入江聖奈、研究者でも貫く「謙虚に」の精神

表彰台でメダルを手にする入江【写真:浜田洋平】
表彰台でメダルを手にする入江【写真:浜田洋平】

次の目標は生物多様性の認知、生物保全「カエルにスポットライトが当たるように」

 子どもの時から、父には勝ってもなお「調子に乗るな」「天狗になるな」と口酸っぱく言われた。長く日本代表として一緒に戦ってきた東京五輪フライ級銅メダリストの並木月海(自衛隊)も、2学年下の入江について「人間としても本当に優しい子。いつでも応援してくれるし、そういう優しさがある」と評する。

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 26日の準決勝後、入江は同じ日体大選手の試合を見届けてから取材に応じた。時間を要したため、「すみません。お忙しい中、待たせてしまって」と報道陣に一礼。まるでサラリーマンが飲み会で自分の席に戻る時のように腰をかがめ、「すみません、すみません」と間をかき分けて会場を後に。腰の低い金メダリストだった。

 現役最後まで貫いた謙虚に、真摯に。大学卒業後は大好きなカエルの研究のため、東京農工大大学院に進学する。現役最終戦に向けて調整してきた傍ら、卒業論文も佳境に入った。カエルの生態学に関する修士論文を書き上げることが当面の目標。第二の人生を見据えるその背中は、ピンと伸びていた。

「上手くいっているからこそ、今後の人生しっかり気を引き締めて、金メダリストの称号に甘えることなく、謙虚に、真摯に進みたいです。私はもう東京五輪で一生分のスポットライトを浴びさせていただきましたので、これからはカエルにスポットライトが当たるように、生物多様性、保全とかを広められる人間になれるように精進したいと思います」

 大好きなのはヒキガエル。「お尻がプリプリで目がつぶら。口がフニャンってなっていたり、意外と図々しい顔だったり。いろんな表情を見せてくれる」。魅力を語り出すと、愛が止まらない。

 この日の表彰台では、「良きカエル人になります! これからもカエルをよろしくお願いいたします」と笑顔で珍コメント。カエル人にとって、カエル界にどうなってほしいのか。そんな質問で普段の天然っぽいキャラクターが一変、真剣なトーンで想いを明かす。

「『なんでカエルを守らないといけないの?』と聞かれることがあります。例えば皆さんが好きなパンダとか、コアラとか、そういう動物にはその感情を抱かないと思うんですね。だから生物多様性の中、その重要さを私たちカエル人が少しずつSNSやテレビで伝えることで、みんなに『カエルは大切な生き物なんだ』と思ってもらえるのではないかと思います。専門的な知識はなくてもいいので、『カエルは大切』と思ってくださったら一歩前進なんじゃないかなって。僭越ながらそう思っております」

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