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寺地拳四朗、王座統一の裏に名トレーナーの存在 3か月で完成させた無敵の京口対策

試合後の会見に出席した拳四朗(中)、右は加藤トレーナー、左は父・永会長【写真:荒川祐史】
試合後の会見に出席した拳四朗(中)、右は加藤トレーナー、左は父・永会長【写真:荒川祐史】

最初の1か月は2人で戦術練り上げ、練習で微修正を繰り返した日々

 2017年5月の世界初挑戦前にコンビを結成。拳四朗はボクシングIQは高くはないと自覚しているが、作戦遂行能力には優れている。だからこそ、加藤トレーナーの言葉を信じることができた。今回は王座統一戦が決まりそうになった8月頃から京口対策を開始。最初の1か月は2人で戦術を練り上げた。

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 加藤トレーナーが映像をチェックし、練習前に動きを確認。ああでもない、こうでもないと相手の動作に対する一つひとつの策を微修正していった。試しては確認を繰り返した日々。「(拳四朗は)負けを経験して自分で考える力もついてきた。自分から聞いてくるようにもなりましたね」。9、10月の2か月で無敵の策が完成。拳四朗は「やっていくごとにレベルが上がるのがわかる」と強さを実感した。

 日本人5人目の2団体統一王者となった試合後の会見。言語化の難しい技術論を問われると、「加藤さん……」と小声で助け舟を求める。隣の加藤トレーナーは、苦笑いをまじえながら頷いた。

「ムキになってラッシュをかけた以外は練習通りでした(笑)。あそこまで(ムキに)なったのは初めて。こちらの声が届かない。あれが日本人同士の統一戦の怖さですね。ただ、ゲームプランは100%よかった。

 メンタルもそうだし、人間的にも成長した。矢吹選手に負ける前だったら、あの場面(5回の反撃)でやられていたかもしれない。今日は反撃された時、あの場面(矢吹戦の劣勢)が被って見えた。ああいう場面も乗り越えて、打ち勝って、自信を取り戻したと思います」

 ターニングポイントに挙げたのは、昨年9月の矢吹正道戦。プロ初黒星を喫し、王座陥落した。打たせずに打つスタイルから、接近戦の強さを身につけて今年3月に王座奪還。今回のビッグマッチで「試合中の冷静さ」も学んだ。「試合で勉強できるのは嬉しいこと」と拳四朗。30歳にして、また強くなった。

 次のターゲットは、バンタム級の井上尚弥に続く3団体統一。この日は自身の前の試合でWBO王者ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)が2度目の防衛に成功した。試合巧者の難敵にも拳四朗は動じない。最強の“拳四朗時代”に突入しそうだ。

「やりにくそうな感じはありましたけど、怖さはないですね。いかに捕まえるかがポイント。自信はもちろんありますし、捕まえられると思う。僕はまだまだ強くなれる」

 会見の最後、ファンに送ったメッセージ。「これからも加藤トレーナーと一緒に強くなっていくので、僕に期待して見てくれたら嬉しいです」。満面の笑みには、揺るぎない信頼が見え隠れしていた。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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