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「世界でも珍しい」と海外勢驚き 7人制女子ラグビー「太陽生命シリーズ」の存在価値

日本代表入りを掴む“シンデレラストーリー”は生まれるか

 7人制ラグビーが五輪種目入りしたのは、2016年リオデジャネイロ大会から。歴史は浅いが、女子ラグビー界の関心度は、15人制から7人制へと大きく傾くことになった。太陽生命シリーズの誕生も、五輪種目入りが影響している。だが、15人制の強化にも携わる浅見副会長は、五輪種目入りが15人制にとっても収穫があると語る。

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「最初は私もどうかなと思っていました。でも、オリンピックを目指して7人制に入ってきてくれた選手たちが、太陽生命シリーズがない秋シーズンには15人制にチャレンジしたいという声が多いんです。7人制とは違う良さがあると気付いてくれています。そういう意味でも、このシリーズは日本の女子ラグビー全体をボトムアップしてくれている大会なのです」

 もちろん、代表強化の側面からも太陽生命シリーズが重要な大会となっている。7人制、15人制の両代表で活躍し、現在は15人制代表でオーストラリア遠征に参加するFL(フランカー)の鈴木実沙紀(東京山九フェニックス)は、このシリーズが選手の成長を大きく後押ししていることを実感している。

「私自身、最初の大会から出させてもらっていますが、やはり出場しているなかで感じるのは、どのチームが勝ち上がるか分からない緊張感が年々増していることです。そして、毎年この大会がコンスタントに行われることで、私たちも試合の経験を重ねられる。練習をどれだけやっていても、勝負の綾とかを学ぶ機会が少なかったなかで、この大会をやることで、7人制の大会ですけど7人、15人関係なく、女子ラグビーとしての試合経験をすごく得ることができています。

 試合の勝ち方だったり、個人個人の課題というのが、自チームだけじゃなく、いい対戦相手と試合をすることで学ぶことができているので、この数年間で女子ラグビーの成長が加速した理由は、この大会が大きいと感じています。参加チームが増えることで女子ラグビーの成長が期待できるし、外国人選手が参加してくれることも含めて、大会の質が高いものになっていると思います」

 浅見副会長も、このシリーズが代表セレクションの場となることを期待している。

「昨季大会では、追手門学院大1年で出場した須田倫代選手が、その後にサクラセブンズ(7人制日本代表)に入って、秋のアジアシリーズでプレーしています。今、15人制代表のヘッドコーチを務めるレスリー(・マッケンジー)さんも太陽生命シリーズをしっかり視察して、選手の15人制代表へのピックアップも考えています」

 参加チームが増える今大会でも、須田倫代のような“シンデレラストーリー”は生まれるだろうか。

(後編へ続く)

【太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2022・大会概要】
■大会日程
第1戦【熊谷大会】4月23、24日/熊谷スポーツ文化公園ラグビー場Aグラウンド
第2戦【静岡エコパ大会】5月14、15日/小笠山総合運動公園エコパスタジアム
第3戦【鈴鹿大会】6月4、5日/三重交通Gスポーツの杜 鈴鹿サッカー・ラグビー場
第4戦【弘前大会】6月18、19日/弘前市運動公園陸上競技場
※2022シリーズ終了後の入替戦はなし

■出場チーム
[コアチーム]
ながとブルーエンジェルス(1位)
東京山九フェニックス(2位)
パールズ(3位)
チャレンジチーム(4位)※
アルカスクイーン熊谷(5位)
RKUグレース(6位)
追手門学院ヴィーナス(7位)
横浜TKM(8位)
日本体育大学(9位)
自衛隊体育学校PTS(10位)
四国大学(11位)
北海道バーバリアンズ ディアナ(-/全大会のうち出場が半数未満のため順位なし)
(カッコ内は21年総合順位/※=日本代表候補・育成選手編成チーム)

[ゲストチーム]
▼第2戦
ブレイブルーヴ
横河武蔵野アルテミ・スターズ
アザレア・セブン
国際武道大学
▼第3戦
ナナイロプリズム福岡
日本経済大学アマテラス
神戸ファストジャイロ
九州産業大学

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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浅見敬子

日本ラグビーフットボール協会副会長(女子15人制日本代表ナショナルチームディレクター) 
1977年3月4日生まれ、東京都出身。日体大在籍時の1996年に15人制女子日本代表に初選出。ニュージーランドへのラグビー留学も経験し、2004年からは7人制女子日本代表でも活躍した。07年の引退後は女子日本代表のコーチとなり、12年からは7人制女子日本代表ヘッドコーチとして16年リオデジャネイロ五輪出場に導いた。現在は日本ラグビーフットボール協会副会長、女子15人制日本代表のナショナルチームディレクターを務める。

吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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