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父は脳内出血で引退した伝説のボクサー 再起した平仲信裕の心を燃やしたオヤジの言葉

平仲(左)は「アマで燃え尽きる」と必死に戦っている【写真:(C)日本ボクシング連盟提供】
平仲(左)は「アマで燃え尽きる」と必死に戦っている【写真:(C)日本ボクシング連盟提供】

「試合前の緊張は怖い。でも…」、ボクシングでしか経験できないもの

 沖縄連盟からの打診もあり、今年秋の三重国体を目指すと決めた。本格的に練習を再開したのは6月。ところが、大会直前で中止になり、またもコロナが障壁となった。モヤモヤを拭いきれず、「せっかく練習したんだから」とターゲットを全日本に変更。九州地区の予選から勝ち上がり、本戦までたどり着いた。

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 予選突破の報告に、父は「おう」だけ。「オヤジは全部獲っているから、厳しさをわかっている。『もっと本気出せよ』『こんなんじゃ、まだまだ獲れないぞ』と言われている感じ」。くすぶった時期は父の経営する会社で働くこともできた。「レールを敷かれても、それに乗りたくないと思う自分がいる」。我が道を進む気概は強い。

 厳しいアスリートの世界でも、特に身も心も削られる格闘技。なぜ、平仲Jr.はリングに上がるのか。24年パリ五輪が第一目標ではない。父によく似た無骨な顔で語る。

「試合前の緊張はやっぱり怖い。でも、これを経験できるのはボクシングしかない。試合前の夜は眠れないし、震えることもある。けど、勝ちたいという気持ちもある。五輪にそこまでこだわりはないです。まだ燃え尽きていないだけ。まだ物足りない。燃え尽きるまでやりたい。試合ができるなら明日でもいいです」

 明信氏は世界王座を奪ってから、5か月後の初防衛戦で11回TKO負け。試合後の検査で脳内出血が発覚し、引退を余儀なくされた。28歳だった。

 偉大な父が指針になっているのは間違いない。まだ25歳。燃えないなんてもったいない。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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