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ポスト福岡堅樹は“滑り込み”代表入りの新星 サンウルブズ戦で注目「3人の新戦力」

“滑り込み”で代表入りした高橋汰地【写真:Getty Images】
“滑り込み”で代表入りした高橋汰地【写真:Getty Images】

“滑り込み”で初代表入りの高橋は候補外からの抜擢

 サンウルブズ、サンゴリアスという2つのチームで得たものと課題をさらに聞いてみると、「ボール捌きに関しては自分も少し自信があって、そこで勝負したいとは思っている。ただ、それだけではなくて、試合の状況を見ながらキックを使ったり、チームを落ち着かせること、そういう判断の部分は、これからまだまだ磨いていかなければならない」と自分の強みも、また足りないものも明確に捉えている。

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 判断力を高めるためには、テストマッチでのハイレベルな経験を積むことが欠かせない。19年W杯まで日本代表の9番を独占してきた田中史朗(キヤノンイーグルス)と流がコンディショニング等を優先して代表に不在の今季、どこまでメンバーに食い込み、テストマッチでのプレー時間を稼げるかが成長のカギを握る。

 齋藤とは対照的に“滑り込み”で代表入りしたのがWTB高橋汰地(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)。怪我人の代役として5月27日に召集された。本人も「こぼれてきたチャンス」と苦笑いの初選出だったが、「これを、どうこの先に繋げていくか、ここで何か1つでもいい選手だと思われるようなプレーをコーチ陣、スタッフに見せたい」と代表サバイバルへの野心は旺盛だ。

 コロナ感染の影響でシーズン途中で中止となった19-20年シーズンにトヨタでデビューして、20-21年シーズンは主力の14番に定着したが、ルーキーという括りを越えた高いポテンシャルを見せ始めている。ステップを切ってもスピードが落ちないランと、無類のハイボールへの強さで、21年シーズンは出場した5試合で4トライをマーク。神戸製鋼黄金時代に同じWTBで活躍した父・晃仁さんの剛脚と決定力を引き継いでいる。高橋自身も「今回のシーズンは、前年よりも自分の強みや、やりたいことが形に表れた印象だった。トライを獲り切る決定力やハイボールキャッチ、細かいスキルの精度は自信がついた。代表合宿、遠征でも見せていきたい」と意気込んでいる。

 TLでわずか“1.5年目”というキャリアで飛躍的な進化を続けているトライゲッターに、ジョセフHCも代表候補外からの“飛び級”抜擢を決めた。12日の強化試合はサンウルブズ側に派遣されて先発出場するが、日本代表の藤井雄一郎ディレクターは「基本的には代表選手に、より多くのゲーム時間を作りたい。(サンウルブズで出場する選手は)代表から漏れた選手ではなくて、代表の先発15人に次ぐ選手」と事前に説明。ジョセフHCも「福岡堅樹のようなXファクターを持った選手」とポスト福岡として注目する。

 2年後のフランスへ生き残るには、福岡のような、チャンスを必ずスコアに結び付ける決定力はマストだろう。加えて、テストマッチでのタックル、コンタクトといったフィジカル面でどこまで戦えるかが、大きなチャレンジになる。

 福岡が抜けたWTBの枠を争うのは、ゲラード・ファンデンヒーファー(クボタスピアーズ)、セミシ・マシレワ、シオサイア・フィフィタ(ともに近鉄ライナーズ)ら海外勢。過去にサンウルブズでも実績を残す3人は、同時に“36か月ルール”適用のために今年中の代表戦出場が優先される選手でもある。高橋は、このライバルたちの厚く、高い壁を乗り越えて桜のジャージーを掴む戦いに挑むことになる。

 23歳の齋藤、24歳の高橋と、23年W杯以降も代表で活躍できる20代前半のメンバーにスコポットを当ててきたが、28歳で初キャップに挑む遅咲きのルーキーにも注目したい。25日の試合は代表からサンウルブズ側に回り先発する森川由起乙(サントリーサンゴリアス)は、機動力を武器に桜のジャージ獲りを狙う。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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