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ラグビーW杯日程決定 試合順、試合間隔、開催場所が日本代表への追い風となる理由

試合間隔の拡大は日本代表に追い風

 ここで、今回の日程発表に先立ち、統括団体ワールドラグビー(WR)、大会組織委が発表した日程等に関する新たな取り組みを説明しておこう。

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 主要な決定事項を箇条書きにすると以下のものになる

・試合間隔は最短中5日
・登録選手を31から33人に増加
・移動の負担を減らす

 長らく、出場チーム、選手から多くの批判があったのが試合間隔だ。前回大会までは、高額な放映権料を支払う放送局や、チケット販売を重視して、強豪国の試合を週末に組んできたため、中堅・弱小国が中3日で試合を強いられることもあった。15年大会の日本代表が南アフリカからの金星の後、中3日でスコットランドに完敗して、19年大会では、そのスコットランドが同じく中3日で対戦した日本に敗れている。

 このような不均衡を解消するために、フランス大会ではプール戦期間を1週間延ばし、どのチームも平等に準備期間を持てる日程を実現した。これはWRが取り組む選手のウェルフェア(福利、活動の充実と保障)を重視する方針が反映された決定で、登録選手数の2増、そして移動による負担軽減も同じように、選手への負担を減らすという考え方によるものだ。

 このような新たな取り組みは、どのチームにも均等に恩恵があるのは間違いない。だが、その一方でチームのキャラクター、つまり各国代表のチームスタイル、強化方針、代表強化における背景を考えてみると、日本代表にはさらなる追い風と考えていい要素が浮かび上がってくる。

 まず、試合会場について考えていく。試合ごとの移動を見てみると、日本代表はトゥールーズ→ニース→トゥールーズ→ナントと3か所を会場とし、トゥールーズがハブのような位置づけになる。この3都市のロケーションを見てみると、トゥールーズを中心にして、ニースは東に、ナントは北にそれぞれ500キロ、飛行機だと70分ほどの移動時間というロケーションだ。この移動については、藤井NTDが「神経質になることなないと思う」と語るように、試合間隔が十分にある中での選手への肉体的な負担は少ないと考えていいだろう。

 大会前、期間中の練習場所については、同NTDが「テストマッチもやっていますし、ジェイミーも街のことよく知っていると言っていたので、しっかりそこで合宿、生活すれば馴染んでくると思う。2試合ありますし、おそらくジェイミーの頭の中にはあるんじゃないかなと思います」と、トゥールーズが日本代表のベースキャンプ地になることを示唆している。この考え方を裏付けるように、ジョセフHCも、協会を通じて発表したコメントで、こう語っている。

「最初の3試合を南フランスで戦うことになったのは、2017年のトンガ戦の際に準備も含めてトゥールーズに滞在して、街にも精通していることを考えると、私達にとって好材料です。とても適応しやすい地域で、人々はみな本物のラグビーファンです」

 フォアグラと薔薇色の歴史的建造物で知られるトゥールーズは、フランスの名門クラブ「スタッド・トゥールーザン」の本拠地で、熱心なラグビーファンが多いことでも知られている。ジョセフHCのコメントの通り、日本代表が17年のフランス遠征でトンガ代表と対戦する際に滞在した街で、リーチ主将も「何人かのメンバーがプレーしている。その経験が必ず次のチームで生かせると思います」とプラス材料と考えている。ジョン・カーワンHCが代表を率いた2007年大会でも拠点としたこともあり、日本との親和性は抜群といっていいだろう。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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