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トップリーグ展望【後編】タレント軍団・神戸製鋼、パナソニックが激突…ホワイトカンファレンス

大怪我を乗り越え復活に挑む三菱重工相模原・武者大輔

 W杯日本大会でも活躍したレジェンド勢に比べると知名度は低いが、個人的に今季新加入選手の中で直接観戦するのを最も楽しみにしているのが、NTTコムのFLリアム・ギルだ。リヨン(フランス)から移籍してきたが、豪州代表キャップ15を持ち、五郎丸歩もプレーしたスーパーラグビー・レッズの中心選手として活躍してきた。母国ではフーパ―、昨季までパナソニックでプレーしたデービッド・ポーコックに匹敵するバックロー選手として期待されてきたボールハンター。代表キャップ数は、この2人の影響で多くはないが、ブレークダウンでのボール争奪戦では世界トップクラスのしつこさとスキルを見せてくれるはずだ。

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 そのギルのようなボールハンターに成長する可能性を秘めるのが、トヨタ自動車のFL古川聖人。ルーキーシーズンの昨季は開幕スタメンデビューを果たして、タックル、ジャッカルと“ボールを持たないプレー”が光った。名門・東福岡高、立命館大、U20日本代表と常にキャプテンを任されたのも、体を張ったプレーでチームを引っ張るリーダーシップを期待されたため。身長179センチ、体重96キロのサイズは国際舞台では大きなハードルになるが、日本選手らしい低さと骨惜しみしない運動量は必見だ。

 最後に紹介するのは、選手生命を賭けて完全復活に挑む選手だ。

 三菱重工相模原ダイナボアーズのFL武者大輔は、日本代表経験こそないが、相手のひざ下に突き刺さるハードタックルで多くのトップ選手から怖れられてきた。通常のタックルは、相手選手のランコースやステップに対応しながら確実にヒットするために一瞬スピードが落ちるものだが、武者のタックルは減速のないまま突っ込むような思い切りの良さで異彩を放っている。

 2019年7月に左股関節の脱臼骨折という大怪我を追い、損傷個所が壊死する恐れもあったが、移植手術などを経て2020年2月22日のヤマハ発動機戦で実戦復帰。身長177センチという体の小ささを相手の懐に入るための武器にした低く、鋭いタックルは、日本選手ならではもの。ひたむきに、しぶとく相手を追い続けるスタイルも、才能の有無に関係なく、ラグビープレヤー誰もがお手本になる。

 昨季からのリーグ中断期間を経て、どこまで全盛期の狂気に満ちたタックルを取り戻せるかに挑むシーズンになる。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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