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ラグビー選手・川西智治が難病を告白 人知れず10年続ける「潰瘍性大腸炎」との闘い

身長174センチ、体重99キロという鍛え上げられた身体で、ラグビー・トップリーグのトヨタ自動車ヴェルブリッツで戦う川西智治。強豪・流通大柏高、流通経大を経て、2010年からトヨタ自動車でプレーするフッカーは、自己犠牲の精神を前面に押し出したパフォーマンスで、チーム最高齢の33歳を迎えた今も欠かせない存在になっている。

トヨタ自動車ヴェルブリッツでプレーする川西智治(右)【写真:本人提供】
トヨタ自動車ヴェルブリッツでプレーする川西智治(右)【写真:本人提供】

トップリーグ・トヨタ自動車の現役選手、33歳・川西智治が明かす闘病の実情

 身長174センチ、体重99キロという鍛え上げられた身体で、ラグビー・トップリーグのトヨタ自動車ヴェルブリッツで戦う川西智治。強豪・流通大柏高、流通経大を経て、2010年からトヨタ自動車でプレーするフッカーは、自己犠牲の精神を前面に押し出したパフォーマンスで、チーム最高齢の33歳を迎えた今も欠かせない存在になっている。

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 底抜けに明るい性格で、チームメートはもちろん対戦相手やファンからも広く愛される川西だが、実は人知れず続けている闘いがある。それが国が定める指定難病「潰瘍性大腸炎」との闘いだ。大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こり、潰瘍などが形成される原因不明の病気で、下痢や血便、腹痛、発熱、貧血などの症状が特徴的。安倍晋三・前首相の持病として病名を知った人も多いだろう。

 大腸内の炎症を抑え、症状をコントロールするための薬や治療方法が開発されてはいるが、原因不明の病気なだけに、特効薬や絶対的な治療方法はないのが現実だ。「難病情報センター」の公式サイトによれば、日本には16万6000人を超える患者がいるという(2016年現在)。一見すると健康体に見えるが、急激な腹痛や便意に襲われる病気のため、なかなか周囲からの理解が得られず、ストレスを感じながら病気と闘っている人も多い。

 2011年夏に発症して以来、長く辛い闘いに身を置いている川西は、今回初めて自身の病気について公で語る決意をした。それは「ラグビーやトップリーグに対して注目や関心が高まり、自分に発言権がある今こそ、同じ病気を抱える人たちのために、広く皆さんに病気に対する理解を深めてもらいたい」という想いがあるからだ。もちろん、自身の病気について告白するには「覚悟」がいる。だが、「自分が幸せであるためにも人に優しくする」というモットーに背中を押された。

 自らの経験を通じて「潰瘍性大腸炎」とはどういう病気なのか、同じ病気を持つ人や周囲の人々に対するメッセージを川西自身の言葉で綴る。

 ◇ ◇ ◇

 皆さん、いつも応援ありがとうございます。トヨタ自動車ヴェルブリッツの川西智治です。今回は僕が向き合う「潰瘍性大腸炎」について知っていただきたく、迷った末にペンを執りました。僕自身、以前テレビである芸能人の方が同じ病気であることを知り、勇気づけられた経験があります。僕の経験を伝えることで、病気で悩む誰かの力になれればうれしいと思い、決心しました。

 目に見える病気ではなく、原因も不明。いつ悪化するかも分からず、絶対的な治療法もない。この病気はとても理解されにくく、僕も自分が嫌になることが何度もありました。今も完治していませんが、うまく付き合いながらラグビーに全力を注いでいます。

 発症したのは、社会人2年目の2011年のことです。夏合宿中のある朝、いつものようにトイレに行くと、便器は血で赤く染まりました。腹痛もなく体調はいつも通り。激しい合宿中だったとはいえ、腹部を打ったわけでもありません。トレーナーと相談し、合宿終了後に病院へ行くと「潰瘍性大腸炎」と診断されました。この時は「ただ血便が出るくらいだろう」と軽く考えていたので、処方された薬も飲んだり飲まなかったり。特に大きな変化はありませんでした。

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