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列島を感動させたスコットランド戦から1年 日本に“ラグビー文化”は根付いたのか

コロナ禍の中で…3年後のW杯へ今できることとは

 もし、合理的な判断で、人工芝の聖地を容認するのであれば、日本ラグビー協会の理念はどういうものなのだろう。

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 人工芝問題は、問題の一端に過ぎないのかも知れない。2019年を境に日本列島で想像を超える支持を得たラグビーが、どのような価値観や理念を国民に発信していくかは、国内のスポーツの中で、どのような存在感を示していくのかに繋がるはずだ。

 では、日本代表の“これから”はどうなるのだろうか。

 以前のコラムで書いたように、次回W杯までに残された時間をどう有効に使うかが、チームおよび日本協会に課せらてた宿題のようなものだ。その意味でも、来年の活動再開は重要な挑戦になる。

 コロナ感染悪化による大幅な変更がないことを前提に、すでに発表されているトップリーグの公式戦日程(第2ステージ以降未定)を踏まえると、日本代表の強化が本格的に始まるのは、中止前に予定されていた今季と同じ6月初頭になる。代表戦も同月最終週から始まると考えていいだろう。

 日本代表を率いるジョセフHCは、昨年のW杯へ向けた強化の中で、何度かのミニ合宿を行っている。TL期間中の公式戦がない週に4日ほど候補選手を招集して1歩でも強化を推進したかったからだ。贅沢をいえば、来年のTL期間中にも、このような短期合宿を導入したい。シーズン中に選手の強化を進めた中で6月の合宿を迎えることが出来れば、強化を効果的に促進できるからだ。

 日本代表は、コロナ感染の影響で活動が中止されている間にも、選手個々にトレーニングメニューを与えてコンディション維持、強化を図ってきた。9月14日のウェブ会見でジョセフHCは、そのリモートトレーニングの効果を「選手はコンディションを維持しようという気持ちが非常に高かった、W杯後というのは、なかなかそういうマインドセットが難しい。そんな難しい状況の中で、選手たちがとても一所懸命取り組んでくれた姿勢を見れたことは、とてもポジティブな材料だった」と高く評価している。

 W杯で代表チームの躍進を支えた日本選手の勤勉さは、アスリートにとって厳しいこのような自粛期間にもプラスに働いていたのだ。この勤勉さを活かせば、TL期間中の選手強化にも役立つ期待は高いのだが、理想をいえば定期的に集まり、リモートでの強化の確認とリモートでは出来ないメニューを消化したい。

 このような短期合宿を実現するには、選手のコンディションを慎重に見定める必要がある。第2ステージ、プレーオフの日程が未確定のTLで、選手に過度の負担を与えずに合宿を行うことが可能なのかが重要だ。代表選手の大半が所属するTLチームの現状を見ると、コロナ禍でようやく本格的な強化が始まった段階だ。1月開幕という馴れない日程も含めて未知数の要素が多い中でスタートするTLにおいて、選手のコンディショニグ、疲労度を細かにチェックし、見極めることが必要だろう。

 今季中止された日本代表戦を見てみるとウェールズ、イングランド、スコットランド、アイルランドと、現在の世界ランキングで日本より上位の強豪とのテストマッチが組まれていた。WRがマッチメークの主導権を握る昨今であれば、おそらく2021年の代表戦も、その多くは内定していたのは間違いない。日本代表も、対戦の可能性が報じられるニュージーランド代表や、ブリティッシュ・アイリッシュ・ライオンズなどのような、今季対戦予定だった相手と同等な強豪とのカードが組まれるはずだったのだろう。

 しかし、現状のように多くの試合が中止、ペンディングされる状況下だからこそ、日本協会には交渉力が求められる。今年開催予定だったカードの再戦、もしくは最低でも同等レベルの強豪国とのテストマッチを確保するためには、対戦するべき強豪国とWRへの積極的なアプローチが欠かせない。来年以降、通常の年2回の代表戦期間が再開されると想定すると、日本代表がW杯プレ・イヤーまでに組めるテストマッチは2021、22年の合計16試合だ。この試合数が強化に十分なのか、足りないのかは代表首脳陣が組む強化プラン次第だろう。だが、もし不十分であれば、エキストラの試合をどう組んでいけるのかを考える必要がある。

 現時点ではSFのようなアイデアだが、日本国内と国際試合のカレンダー双方を見ると、参加出来る可能性がある国際大会として南半球のラグビー・チャンピオンシップ(RC)が浮かび上がる。

 参加国は、昨秋の日本大会を含めた過去のW杯全9大会中8大会を制した南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリアにアルゼンチンを加えた南半球4か国。世界最高峰の国際大会といっていい。日本にとっては地球の裏側だが、大会を運営するSANZAARは日本のサンウルブズが今年まで参戦してきたスーパーラグビーの運営元でもある。日本協会内でも交流を続けてきた経緯がある。ここ数シーズンRCが開催されてきた8月~10月前後は、日本代表メンバーにとっては所属チームによる拘束が少ない時期でもある。

 もちろん、日本の事情以上に南半球の4か国が参入を許すのかが最大の争点になるのは間違いない。今なら、このプランは机上の空論に過ぎない。それを現実の議題にするためには、当該国はもちろんだが、統括団体としてのWRの理解・支持を得るための交渉力がカギを握ることになる。日本の参戦が南半球4カ国にどのようなメリットをもたらすのか、日本代表を参入させることが世界のラグビーの発展にどう寄与するのかを、完璧に理論武装して訴える必要があるだろう。

 国内でも国際舞台でも、日本ラグビーが新たな時代を迎えようとしていることだけは間違いない。そこにコロナ感染という変化も強いられている。このような激動期だからこそ、ここまで述べてきた、日本ラグビーがどのような理念に基づいて、新たな目標を掲げ、実現していくのかを考える必要があるはずだ。変化に伴う様々な難局を乗り越え、進化を続けるためには、骨太で、揺るぎのない“羅針盤”が欠かせないだろう。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19年と6大会連続で取材。

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