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NHK「みんなのうた」で話題 ナオト・インティライミ×元五輪選手で“走り”を歌にした理由

「隣の影は気にするな」の歌詞に2人が込めた思い、感じること

――新型コロナウイルスコロナの感染拡大により、子どもたちが自由に遊べなくなるという期間と重なりました。その中で「スタートライン」を子どもたちにどう聞いてほしいですか?

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ナオト「この曲を作る時はこんなウイルスが登場し、僕らの世界を一変させてしまうなんて想像もしていませんでした。子どもの運動不足がさらに加速していきますが、それでも正しい知識の下、ジョギング、ランニングをすることには感染リスクが少ないと言われています。正しく知識をつけて、正しく恐れながら、大人たちは健康的に生きることはもちろん、子どもたちは運動不足を防いで、運動能力を上げるために『走る』ということが大切になってきます。だからこそ、この曲を通じて走りたいという子どもが増えたり、運動機会が増えて行ったりしたらうれしいです。

 あとは伊藤さんがヒントとしてくれた自分との向き合い方、自分との闘いというのは常日頃から僕も感じています。常に挑戦していく姿勢は思っていて、今回の『隣の影は気にするな』『昨日の自分に勝てばいい』という歌詞に集約されています。コロナの影響が出てきた時、僕はSNSが苦手なアナログ人間だったので、SNSが得意な人たちは使いこなして、どんどん先に進んでいる中、何をしたらいんだろうと。でも、ちょっと待てよ、と。曲にあるように、他人と比べるんじゃない、自分の走りで自分のゴールを見ようというのが一番だろう、と。そのあたりの歌詞には思いを込めました」

伊藤「陸上選手はレース中に隣の人を気にしすぎて走りが乱れ、力を入れるタイミングが狂い、スピードが低下することがよくあります。一方で、他者を気にせず自分がやるべきことにフォーカスし徹底した方が、結果が良いことがあります。評価についてもどれだけ自分が速くなったか、変わったかに目を向けると、自分の成長を感じられ、それも一つの進歩です。これは世の中の皆さんにも当てはまること。一番は自分がどうあるべきか、どの方向に歩んでいくか。陸上を通じて、そこにフォーカスできると今後の人生においても良いなと感じていたので、ナオトさんが仰っていたこととつながっていて、すごくうれしいです」

ナオト「でも、アスリートの方は次元が違いますね。本当にすごいし、大リスペクトを感じています。僕らのやっている音楽とは追い込み方が全然違う。僕も端くれながらサッカーをやっていて、プロになれなかった人間ですから、五輪に出られて自分を追い込み続けて、怪我と闘い、心と相談し、あの一瞬、0.01秒で戦ってきた精神性は僕には全く見えない景色があると思うので、本当に尊敬しています。そういった方と自分だけでは作れないような曲をしかもこうして『みんなのうた』という国民的番組で、子どもに届けやすい形でご一緒できたことはうれしいです。ありがとうございます」

――改めて、今回の協力の発端にもなった子どもたちの運動機会の減少についても聞かせてください。そもそもナオトさんはやはり小さい頃からスポーツ少年だったのでしょうか?

ナオト「野猿でしたね(笑)。短距離は遅かったんですが、長距離は好きで。地元の千葉県野田市で僕が住んでいた地区は子ども会など、地域の関係性が昭和っぽく、つながりが強くて、それが自分の形成にすごく大きかったんです。幼稚園の年長さんだった僕が小6までいるお兄ちゃんたちに食らいついて、ケードロ、鬼ごっこ、サッカー、野球を毎日やっていました。でも、こういう環境も今、だいぶ減っていますよね。近所に住んでいる子たちがあの公園に行けば、何か始まるみたいな感じ。どうすれば、そういうコミュニティがもう一度、活性化できるのか。田舎の方では今もあるかもしれませんが、都会は子どもがゲーム機を持ち、スマホを持ち……。自分がそういう子ども時代だった分、そういうところに目を向けていきたいです」

伊藤「運動機会の現象について、やはり一つは公園が自由に使えない、ボール遊びができないという場所の問題がありますね。安全管理上、保護者が目が届かない場所に置きたくないという思いもありますが、スポーツをすること、体を動かすことの楽しさや人としての成長、価値をどう高めるのかがもっと明確になり、伝わっていくと、保護者もコミットさせやすいと思います。その中で、ナオトさんとご一緒させていただいたような歌の力を借りながら、例えば、教室のウォーミングアップで曲を流して、一緒に体操したり運動したりということもはじめに興味・関心を惹く上ではすごくいいなと思います」

ナオト「そう言ってもらえると、すごくうれしいですね」

――ナオトさん自身はスポーツの良さは何だと思いますか?

ナオト「やっぱり人とのつながりが生まれ、走りは特に自分と会話する機会になることですね。そういう機会が得ることが大切で、本当はやってみるのは難しいことじゃない。音楽も一緒で、ボイストレーニングしてダンストレーニングして……じゃなく、もっと自然にその辺にあっていい。みんなで一緒にやっていたら踊れるようになっちゃった、音楽がいつも鳴ってるから歌えるようになっちゃった。そういう全体での環境作りが必要なのかな。走りも『さあ、走るよ』と指示を出させると、走りたくなくなっちゃう。遊んでいたら気づいたら足が速くなっちゃう環境。日本は場所が少なく、社会も変わりましたが、僕が旅をしてアフリカで見てきたような光景とか、昔の日本で良かったなと思う部分が少しでも甦るといいなと思います」

伊藤「スポーツや走りでは気づいた時には楽しくて夢中になってしまっていたということがあります。音楽も一緒だと思いますが、僕らの走りのトレーニングにナオトさんの音楽が付け加わり、楽しさがより増したり、トレーニングに関心を持ってもらえたり、少しでも動きたいと思う人が増えたらすごくいいですね」

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