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“絶対王者”駒澤大に勝つためには? 創価大監督が力説「箱根駅伝しか目指さないチームでは…」

世界に通じるトップ選手を育てたいと語った榎木和貴監督。その成果は着実に表れている【写真:編集部】
世界に通じるトップ選手を育てたいと語った榎木和貴監督。その成果は着実に表れている【写真:編集部】

大学時代の恩師・大志田秀次監督に受けた影響

――自己記録を打ち破れないことで悩むケースは多いですか。

「中間層の選手は、1万メートルを29分20秒ぐらいまではいくんです。そこから28分台の領域に入っていくところで停滞することが多い。そこを打開するためには、今までと同じ努力では難しい。だったら、そこに上乗せした取り組みをしないといけないんじゃないか、そのためにはこういうトレーニングが必要だよねという話をして、練習メニューを提供します。なぜ、そういう練習が必要なのかを理解しないと、いくら練習しても成果に繋がらない。

 また、自己記録が出たから満足ではなく、箱根で勝つところまでレベルを上げていかないといけない。選手が自分でそこのレベルを目指すというところが出てくれば自然に強くなるので、そういう導きをすごく大事にしています」

――創価大に来る前は、沖電気やトヨタ紡織で指導をしていましたが、実業団の選手と学生とでは、指導においてアプローチは異なるのでしょうか。

「実業団は、高校や大学のトップが集まった集団なので、ある意味、自分たちがこれまで築き上げてきたものを守りたいというのが、割と強いんです。また、駅伝というよりもトラックを極めたり、マラソンに移行したり、目標がバラバラなので全体で見ることが難しい。大学は高校から入ってきて、まだ完成形ではないですし、私が大学時代に経験してきたことなどを含めて、選手たちに落とし込むことができます。箱根駅伝を目標にして、全体でそこに向かって動いていくので指導はやりやすいですね」

――実業団は個別主義の指導が軸になり、大学では全体主義と個別主義が混合するスタイルが多いですが、創価大はどのように指導されていますか。

「うちは全体主義で一本化せず、臨機応変に対応しています。目標が箱根駅伝と明確になっている中、平地区間があれば特殊区間もあります。目指すところ、得意分野を伸ばしていく観点で選手とメニューや試合設定などを決めていくので、そこは個別で見ていきます」

――選手を指導する上で、影響を受けた指導者はいますか。

「私が大学生の時に指導を受けた大志田(秀次)さんですね。昨年まで東京国際大で監督をされていましたが、在任中は出雲駅伝優勝や箱根でシードを獲るなど結果を出されていました。それは大志田さんの指導の賜物だと思います。私が指導を受けた時も選手に寄り添ってくれて、目標達成に導いてくださったので、大志田さんの指導を参考にしているところが多いです。

 実業団時代(旭化成)の時の経験も生きています。実業団はトップレベルの選手が集まった集団で、『この練習で強くなる』という感じで、練習はそれをやるしかない感じでした。そこから外れたりすると気にもかけてもらえない。その時、監督主体で動くのではなく、選手が何を求めていくのか、どうなりたいのかをコミュニケーションを取りながら一緒に方向性を探っていく重要性を逆に学ぶことができました」

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榎木 和貴

創価大 陸上競技部 駅伝部監督 
1974年6月7日生まれ、宮崎県出身。現役時代は箱根駅伝で史上7人目となる4年連続区間賞獲得など、中央大の主力として活躍。3年時の96年大会では4区を走り、32年ぶり14回目の総合優勝に貢献した。卒業後は旭化成に進み、2000年の別府大分毎日マラソンでは2時間10分44秒で優勝。その後は負傷にも苦しみながら沖電気、トヨタ紡織で指導者としての実績も積み上げると、19年に創価大駅伝部の監督に就任した。21年の箱根駅伝で往路優勝、総合2位とチームを過去最高成績へと押し上げる。今季も出雲駅伝2位、全日本大学駅伝6位と上位争いを演じている。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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