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「常識を疑え」 箱根駅伝のダークホース、國學院大を支える監督の挑戦心

國學院大學・前田康弘監督が語る現代の部活動の姿と「常識を疑う」姿勢とは【写真:編集部】
國學院大學・前田康弘監督が語る現代の部活動の姿と「常識を疑う」姿勢とは【写真:編集部】

自分たちがやっていることを「見つめ直す作業は必要」

 適切な距離感を取るのは簡単そうで、相当に難しい。まず、選手一人ひとりの性格、能力、現状を把握していないといけない。その上で選手が伸びるであろうという基準に立って、手を差し伸べるのか、距離を置くのか、冷静に判断しなければならない。一歩間違えば、過度の指導になって反発される場合もあるし、逆に指示待ちの学生になってしまうこともある。

――選手を成長させるために指導者が考えるべきことは、どんなことでしょう?

「私は、いろんなことに疑いを持つことだと思いますね。例えば朝練習です。冬の朝練はまだ暗く、寒い中、走りに行くわけじゃないですか。暗い道を走るので、車や自転車に注意しないといけないですし、足元にも気を配らないといけない。しかも寒いので故障のリスクもある。朝練がいつから常識になったのか分からないですが、本当に必要なものかどうか、自分たちがやってきたことを見つめ直して考えていく作業は必要だなって思います」

――常識を疑うということですか?

「そうです。例えば、選手を成長させ、力を発揮させるためには、寮生活の在り方も今のままでいいのかと思いますね。よく上級生と下級生を同部屋にしますけど、それは必ずしも必要なのかと考えているところです」

 常識とされてきたものを疑い、それを壊して新しいことをチームに取り入れ、選手を導いていく。情報量が増える一方で指導する側が教えすぎたり、学生も教わり慣れている面もあるなか、常識を疑い、斬新な取り組みにもトライしていかなければチームを強く、長く維持はできないのだろう。

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前田康弘


1978年生まれ、千葉県出身。駒澤大学時代に箱根駅伝を走り、4年時には主将として総合優勝を果たした。2007年に國學院大學陸上競技部コーチとなり、09年から監督に就任。着実にチーム強化を進めると、19年の出雲駅伝で初優勝。20年の箱根駅伝では総合3位の成績を収めた。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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