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関西の強豪女子陸上部内にある9つの“部” 「メルカリ部」「園芸部」…異色の“部活内部活”が生み出すメリットとは――園田学園大陸上部

令和の部活動は前時代的なルールの撤廃やSNS・データのテクノロジーの活用など、多様化が進んでいる。近年の大学女子陸上界で存在感を放っている園田学園大(兵庫)はユニークな運営をする学校の一つ。6月に行われた第94回日本学生対校選手権(日本インカレ)で4×400メートルリレー優勝、総合得点でも9位に入るなど活躍が光った関西の強豪には、一風変わった文化がある。大学の部活は主将や副主将などの幹部を設置するのが通常だが、ほかにも9つの“部”が存在する。いわば部活内部活は「メルカリ部」「園芸部」など競技には直接関連しないものばかり。なぜこのような組織運営をしているのか。藤川浩喜監督や部員たちに話を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

日本インカレ4×400メートルリレー優勝など、強豪・園田学園大にある9つの“部”とは【写真:中戸川知世】
日本インカレ4×400メートルリレー優勝など、強豪・園田学園大にある9つの“部”とは【写真:中戸川知世】

日本インカレで園田学園大に聞いた

 令和の部活動は前時代的なルールの撤廃やSNS・データのテクノロジーの活用など、多様化が進んでいる。近年の大学女子陸上界で存在感を放っている園田学園大(兵庫)はユニークな運営をする学校の一つ。6月に行われた第94回日本学生対校選手権(日本インカレ)で4×400メートルリレー優勝、総合得点でも9位に入るなど活躍が光った関西の強豪には、一風変わった文化がある。大学の部活は主将や副主将などの幹部を設置するのが通常だが、ほかにも9つの“部”が存在する。いわば部活内部活は「メルカリ部」「園芸部」など競技には直接関連しないものばかり。なぜこのような組織運営をしているのか。藤川浩喜監督や部員たちに話を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

 トラックでは黄のユニホームをまとって異彩を放ち、スタンドではお揃いのTシャツで応援歌を響かせる園田学園大陸上競技部。今春から大学は共学化されたが、女子のみで構成される。日本インカレで取材をすると、同部が実践する異色の取り組みについて教えてくれた。

 部内に設置されている9つの“部”。「記録部」「写真部」などイメージしやすいものから、「メルカリ部」「園芸部」といった聞き慣れないものまで、様々なセクションが存在する。

 例えばメルカリ部。フリマアプリ「メルカリ」を使って、部の費用を捻出している。これまでに売却したものは服、ランニングシューズ、日焼け止めなど様々。得られた費用では部員が使うストレッチマットなどの練習道具のほか、優勝トロフィーのペナントリボンなども購入したという。

 印象的だったのが園芸部。グラウンドの隅にある小さな畑で野菜や果物を育てている。夏はトマト、冬はいちごやえんどう豆などを栽培。収穫したものは部員たちの練習後の“ご褒美”になる。食べ物以外にも、チューリップを育てて彩りを与えた。

 ほかにもXやインスタグラムなどを活用し、日々の活動や試合結果を発信する「情報部」、新入生歓迎会や夏合宿の際に出し物を披露する「芸能部」、さらには清掃道具の購入や修理、ごみ拾いなどを行い、グラウンドや練習場所を清潔に保つ「施設充実部」など様々。基本的には4年生の部員が所属し、適性を見極めて3年生の後任を任命するシステムだ。ただ、下級生でも立候補して加入することもできるという。

 情報部に所属する400メートル障害の中村咲心(4年)は「競技だけをやっていると息詰まる時もある。息抜きやリフレッシュになっていると思う」とメリットを実感。3年生ながら園芸部に立候補したという梅月夢乃は「責任感が生まれる。野菜やお花にも詳しくなるから楽しい」と熱心に取り組んでいる。

 各部活に異なる文化があるとはいえ、珍しい活動。藤川監督に話を聞くと、目的が見えてきた。

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