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まさかの決勝リレー転倒、擦り傷&絆創膏だらけに…「言い訳にできない」大学陸上に捧げた4年間、最後まで駆け抜けた4日間――甲南大・奥野由萌

5日から4日間、岡山のJFE晴れの国スタジアムで行われた陸上の第94回日本学生対校選手権(日本インカレ)。熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子100メートル7位入賞、200メートルと4×100メートルリレーにも出場した甲南大の奥野由萌(4年)。3連覇を目指した4×100メートルリレーの3走で転倒し負傷も、翌日には200メートルに出場し、最後の日本インカレを走り切った。強豪・甲南大での4年間を振り返り、次の舞台での飛躍を誓った。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

肩や膝にテーピングなどを施して大会4日間を完走した甲南大・奥野由萌【写真:中戸川知世】
肩や膝にテーピングなどを施して大会4日間を完走した甲南大・奥野由萌【写真:中戸川知世】

陸上・日本インカレ 女子100&200メートル、4×100メートルリレー/甲南大・奥野由萌(4年)

 5日から4日間、岡山のJFE晴れの国スタジアムで行われた陸上の第94回日本学生対校選手権(日本インカレ)。熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子100メートル7位入賞、200メートルと4×100メートルリレーにも出場した甲南大の奥野由萌(4年)。3連覇を目指した4×100メートルリレーの3走で転倒し負傷も、翌日には200メートルに出場し、最後の日本インカレを走り切った。強豪・甲南大での4年間を振り返り、次の舞台での飛躍を誓った。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

 傷だらけの体に鞭を打ち、大学最高峰の舞台を最後まで駆け抜けた。

 今大会の最終種目となった女子200メートル準決勝。肩にはテーピング、肘や膝には絆創膏を貼った奥野は、鋭い眼差しで前を見据え、スターティングブロックに足をかけた。9レーンから勢いよく走り出すと、コーナーの出口付近では2番手争い。懸命に前を追ったが、わずかに競り負け24秒49(向かい風0.5メートル)の組4着でゴールした。

 決勝進出まで0秒22届かず、準決勝で敗退。「しっかりと調子を戻せなかったところはもっと改善すべきだし、この怪我を言い訳にできない。自分の実力がまだまだ足りていないと思う」。走り終えると、涙が頬を伝った。

 最後の日本インカレで思わぬアクシデントに見舞われた。

個人、リレーを含め最上級生として甲南大のために走り続けた【写真:中戸川知世】
個人、リレーを含め最上級生として甲南大のために走り続けた【写真:中戸川知世】

 大会2日目の4×100メートルリレー決勝。前日の予選では福岡大、青学大、立命大の3チームが日本学生新記録を更新した。ハイレベルな戦いが予想される中、3連覇を狙ったのが女王・甲南大。しかし、3走の奥野は千葉安珠(1年)からバトンを受け取る際に転倒。4走に繋がらず、棄権となった。

 失意に暮れた悲劇から20時間後。大会3日目200メートル予選には奥野の姿があった。「出るか迷ったんですけど、最後の日本インカレだし、チャンスがあるので最後は走りたいと思って」。肩は摩擦で擦り剥けて、肘や膝も負傷。それでもスタート地点に立ち、着順で準決勝に進出した。

 さらに翌日、迎えた大会最終日の準決勝――。思うように体は動かなかった。「昨日よりも肩に痛みが出て……。足やお尻、ハム(ハムストリングス)も今日は上手く使えなくて……」。いつも通りの走りが難しいことは分かっていても、目の前のチャンスを自ら手放すことはしなかった。4年間を捧げた大学陸上への強い思いの証だ。

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